しごとつれづれ草



 仕事にまつわる話を中心に、行政書士としての私の仕事の一端を紹介してみましょう。
(なお、この談義は私が体験したことの一部に若干のフィクションをまじえたものであり、このことによって生じた損害については責任を負いかねますので、ご承知おきください)

■農地一括贈与の落とし穴(2007年3月)
 農業後継者を育成するため、生前に農地を一括して子に贈与した場合、贈与税を猶予する制度があります。ところがこの制度を使っために思いもよらない事態に遭遇したケースもあるのです。
 それは不幸にして子の方が先立った場合です。子に妻や子がいれば当然に相続が発生します。
 先祖代々受け継いできた田畑が嫁にもっていかれてしまった!ある農業委員が知っているだけでも4件もあるとか。
 そうしたリスクも充分に知ったうえで贈与すること、場合によっては子にこうした場合に備えて遺言を書いておいてもらうこと、なども考えられるのではないでしょうか。

 
■調停始末記ー合意の背景に先祖あり(2006年11月)
 これまで模擬調停に参加したり、裁判所見学で調停ビデオを鑑賞したりしてきましたが、間接ながら簡易裁判所の調停に接する機会がありました。
 私が借地問題で相談を受けていた方が、東京の又従兄弟から親父が亡くなったのでこれまでの借地の使用貸借関係を清算して買い取ってほしいという調停を申立てられたからです。
 申立ての本人と代理人の弁護士が毎回調停に出て来ました。
 第1回 (相手)「親戚なので安くするから買ってほしい」。(当方)「いくらになるのか次回まではっきりさせてほしい」。
 第2回 (相手)「○百万円ではどうか」。(当方)「金策もあり、次回検討のうえ回答したい」
 第3回 (当方)「△百万円までしか資金調達できない」。(相手)「苦渋の決断する」(合意成立)
 第4回 (相手及び当方)調停調書に署名・押印、調停成立。
 こちら側は、新築時に同意をもらっているのだから「使用目的」は少なくも30年はあるはず。今明渡せというなら応分の「立退料」をと主張しました。
 表題登記でしたが自宅の登記をしておいたのも力になったようです。
 相手が合意した背景には、東京住まいなので実家のお墓の管理を引き受けてほしいとの切実な事情もあったようです。先祖代々の墓を守る人がいないという問題はこれから悩みの種になるのではないでしょうか。
 私はもちろん調停の場には参加できませんでしたが、調停を身近に体験することができました。
 (参考:「現代葬儀考」柿田睦夫、新日本出版社) 


■生活保護申請の相談中…ある孤独死の場合(2006年10月)
 これは私が相続の相談中に体験したある老人の孤独死の顛末です。
(1)Aさんは60代半ば、身寄りも無く病気がちで無職でした。居間のこたつでうつぶせになって死んでいたのが発見されたのは9月半ば。幾晩も電気が付いたままなのを近所の人が不審に思い発見されたそうです。死体は既に腐乱しており、死亡診断書では死因は「不明」、推定死亡日は「10日から2週間前」とされました。
(2)警察の話では、Aさんの財布に残されていたのはわずか32円でした。死体の腐乱状況やわずかに残っていたコメ、電気釜にこびりついていた若干の残飯、野菜の切れ端などから餓死ではないだろうとのこと。戸は開け放たれていましたが事件性を伺わせるようなものもありませんでした。冷蔵庫は経費節減のためとうの昔からコードを引き抜いてあったといいます。
(3)健康保険証はどうだったか?私の心配はそこにありました。
 遠方に住む姉のBさんと市役所に出向いて聞きますと、昨年分の国保税は納入されており国保証も届いているはずとのことでした。本人はC型肝炎を患い目も不自由なのに病院をきらい、どこの病院でどんな治療を受けていたか、どんな薬を飲んでいたかなども分からないといいます。保険証があっても自己負担分の支払い費用がなければ病院には行けません。 年金も8ヵ月不足ででていませんでした。カネの切れ目が命の切れ目になった可能性もあるのではと私は思いました。
(4)実はBさんは市役所福祉課で生活保護の件も相談、民生委員にも連絡をとっていた最中だったということでした。私もその話の一端は聞いてはいたのでしたが…。生活保護の申請は即行動が求められる待ったなしの仕事だとつくづく考えさせられました。
(参考:「法律実務家のための生活保護制度活用ガイドブック」(福井県青年司法書士協議会)日本加除出版)


■相続・遺言無料相談会(2005年10月)

 合併二本松市の広報に1年分12万円の広告代を払って、毎号に「相続・遺言無料相談会」の案内を掲載しています。会場は県男女共生センター向いの「二本松市勤労者研修センター」、妻が受付を手伝ってくれています。
 相談者は4月6人、5月2人、6月ゼロ、7月2人、8月(旧安達町会場)1人、9月(旧東和町会場)1人、11月(旧岩代町会場)ゼロという結果になっています。合併した旧三町まで出向いたのですが思ったほどの相談はありませんでした。無料でやってくれるのならと会場費を免除してくれたところもありました。
 広報を見て電話をくれた方もおります。自宅事務所に来ていただきて無料で相談にのっています。
 相続で難儀しているケースに接すると遺言、しかも正しい遺言を書いておけば良かったのにとつくづく思います。
 私が依頼を受けるケースでは公正証書遺言は大体20万円位かかりますが(一般の方にとっては大金です)、後々の苦労を考えれば私たち専門家の力を借りることも考えてほしいなと切実に感じているこの頃です。

■競売物件の買受の仕事で学んだこと(2004年12月)
 福島地裁に傍聴に行った際、ふと掲示を見ると私の住まいのごく近くの畑・山林が競売物件としてでていたので驚きました。倒産した建設業者が資材置場にしていたところだということです。
 悪質な不動産業者などが競落して産業廃棄物の不法投棄などされたら大変だと思い心配していたら、農業をやっている近くの方が買っても良いとの話となりました。
 実際には資材置場として使っていたものの、登記簿では畑のままだったので、農地を買う資格を農業委員会に証明してもらわなければなりません。
 結局特別売却でその方が買い取りましたが、いざ移転登記をする段になって問題がおきました。
 市役所からもらった評価証明は「介在畑」で「畑」の何倍も高いものでした。
 一方で農地としの買い取り資格を求め農地として使用する計画まで承認していて、登録免許税に関してはその何倍もの評価にして登録免許税を課すのは納得いかないと、その方に同行して税務課長に説明を求めました。
 結局、市は法務局がいいなら「畑」でだしますとの話となり、法務局も了解して最終的には畑の評価となりました。
 不合理だと思ったことを率直にぶつけることの大切さを学びました。

 
生活保護を受ける兄弟への扶養義務(2004年7月)
 遠隔地の市役所から、兄弟が生活保護申請をしたので貴方に扶養義務があるとの通知をもらったが、どう回答したらよいのかという相談がありました。
 確かに民法では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」としています。
 夫婦が同居して互いに協力して生活を営む、親が子に対して衣食を与え、教育するなど生活全般について責任を負うのは当然です。しかし、子の親に対する扶養義務、成人に達した子に対する親の扶養義務、兄弟間の扶養義務はこれと違って、「自己の地位相応の生活をなして、なお余裕がある場合にだけ、相手方の最小限度の生活が成り立つ程度の援助をすれば足りる」ものとされています。
 行政は、この違いをよく説明しないまま、兄弟には扶養義務がある、いくら出せるのか家族全員の収入状態を明らかにせよなどの照会をしてきています。ですから「生活に余裕がないので援助できない」と回答するだけでよいのです。
 憲法25条は「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めています。この理念にもとづいて「生活保護法」はその第1条で「国が生活に困窮するすべての国民に対し、その程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長する」としているのです。
 生活保護を申請するのは国民の権利なのです。ところが財政逼迫を理由にその権利を制限する動きがつよまっています。全国各地の生活を権利を守る会という組織が、こうした生活困窮者の運動にとりくんでいます。この団体が発行している「くらしに役立つ制度のあらまし」は、文字どおり役に立つ書物として有名です。
 生活と健康を守る福島県連合会(960−8103福島市舟場町3−26県教育開館内、電話024−521−1066)


■地縁団体が認可されました(2004年5月)
 昨年10月末地縁団体の設立について相談を受けましたが、2月初めに総会をもち5月に申請、このほど認可がおりました。代表の年配の女性はこの申請のために実印を特注、お世話した議員さんと一緒に何度も手続きに足を運びました。半年以上かかってようやく認可にこぎつけたので私もほっとしました。
 この制度は、自治会・町内会などが所有している不動産(土地・建物)などを、個人名義では相続が発生したり、その方が転居したるするたびに変更の登記をしなければならず、経費も手間もかかって大変なので、団体名義で登記できるようにしようという趣旨でつくられたものです。
 ですから、団体所有で個人名義になっている不動産を団体名義に登記手続きをする仕事はこれからです。登記原因は「委任の終了」ということになるようです。


■100年前の50円、今も50円返せばよい(2004年3月)
 相続手続きの相談を受けた際に、明治○○年に「金50円、利息年2割」の借金の担保付の山林を買ったまますでに四代を経過しているケースがあり、この方からこの際担保を抹消したいとの依頼がありました。
 金を返せば担保を消すことができます。いくら返せばいいのか?
 私はその土地の登記簿謄本をもって福島法務局の供託課を訪ねました。親切な職員の方がパソコンで試算してくれましたが、100年近く前の元金50円は今でも50円で返せばよいとのこと。遅延損害金の定めがないときは利息と同率ということで、年10円。100年たっても1000円ほど。結局1050円ほど返せば債務(借金)が弁済されたとして、担保権抹消の登記ができるという理屈なのだそうです。
 今回幸いにも金を貸した方の四代目の相続人もみつかり、お互いに先代の残した宿題を精算することになりました。しかし1050円返しますというわけにもいかず、世に言う「はんこ代」を支払ったようでした。
 返済の相手が見つからない場合また相手が受け取りを拒否した場合は、裁判や供託の方法で単独で登記できるということです。この「休眠担保」については、なかなか複雑なので詳しくは司法書士にお聞きください。


■交通事故証明がとれない?(2004年1月)
 (前々回の続き)事故車の修理代を払わない相手方に対して何らかの法的手段をとることも考えて、事故証明書をとることにしました。警察署の交通課で聞くと警察署備え付けの郵便払込用紙(1件600円)でとれるとのこと。相談者名で申し込み、送付先を私の事務所にしました。
 後日、交通事故処理センターから電話でコンピュータにデータがないのだが、事故の日付、場所などに間違いがないか問合せがきました。年明けて地元警察交通課の職員から、(警察に示談を頼んでもいないのに)相手側が払うと言っているなどの報告がありました。事故証明の件を問い合わせると、相手側が責任もって払うからといったので、事故として処理しなかった、したがって事故証明はとれないとの返事です。
 事故後すぐに警察に連絡し、警察も双方から事情を聞いたので、事故として処理されていたものと考えていたので、こんなことアリ?の思いです。相手のクルマは全廃、こちらのクルマも40数万円の修理が必要だったのですから、事故として処理しなかったのには、何かワケがあったのでは?と勘ぐりたくなりました。


■カネを借りたわけでも物を買ったわけでもないのに…(2003年12月)
 カネを借りたわけでも物を買ったわけでもないのに、毎月2万1500円ずつクレジット会社に支払っている人がいたのにはオドロキです。もうやめたいのだがとの相談です。
 会社の同僚に誘われ「健康食品を友人に勧めるだけで儲かる」というマルチまがい商法にひっかかったようなのです。契約書ももらわず、商品も届かず、届いたのは月2万1500円を24回支払うようにという、クレジット会社の振込用紙でした。契約の相手も内容もよく覚えていないということでまたオドロキました。(その後探してみたら契約書がでてきたとのことででまた3度ビックリ!)
 電話での催促に断りきれずに、母親が代ってすでに5回支払ったということです。
 県消費生活センターでは「若者よ、だまされるな!ストップ!!悪徳商法」「電話で路上で学校で職場で若者達を狙う悪質商法はそこここにウヨウヨ」と警戒をよびかけています。(県消費生活センターは県庁の西隣り福島自治会館1F、福島市中町8−2 рO24−521−0999)。

 年末ぎりぎりに県消費生活相談センターに駆け込み、解約通知するよう助言され、幸いにも年明けに全額返金、めでたく解決となりました。

■地縁団体にかかる条例を制定させた?話(2003年10月)
 
知人から地縁団体について説明をしてほしいと依頼されました。
 地元の集会施設とその敷地を地縁団体をつくって登記したいとの話でした。
 その下調べに条例を確認に出向いたところ、いくら探しても条例が見つからない。
 結局、つくっていなかったことが分かりました。(平成3年の地方自治法改正で制定を義務づけられている)
 やんわり苦言を呈して帰宅2時間後「今年中につくることにしました」と担当者から電話がありました。
 「地縁団体」は、市町村長の認可を受けて、印鑑登録すれば、これまで個人名でしか登記できなかった団体所有の不動産を「認可地縁団体」の名で登記できるようにしたものです。
 私の行政書士の仕事にかかわる行動がきっかけとなって一つの条例ができることにつながった?のです。

■サラ金から債権放棄通知書が…(2003年10月)
 
つれあいを亡くした方が、相談に見えました。
 「黄色い看板」系列のサラ金から突然債権放棄通知書が届いたというのです。
 3年前からサラ金から借金していたことを、初めて知ったというのです。
 しかも元利の返済を迫る通知でなく、全額債権(60万円)を放棄するというのですから、かえって心配になったのも無理からぬことです。
 そのからくりが知りたくて、サラ金の支店長に電話で資料を求めました。
 ローン基本契約書、取り引き明細書などしぶしぶ送ってきました。
 「契約条項」の第16条には「消費者信用団体生命保険への加入」という条項がありました。
 保険事故(契約者の死亡)が発生した場合は、会社が保険金を受け取り、債務額の弁済に当てるというものです。これだなと思いましたが、支店長は今は保険からは抜けていると言っていました。
 それではと某弁護士事務所に電話してみると、弁護士の伝言として「支払超過」になっているのではないか、というのです。事務員の話では裁判所に特定調停を求める場合、返還させる金額が50万円以上ないと無理という話でした。(ちなみに借入利率・実質年率は29.20%、遅延利率・同も29.20%となっていました)
 で、確認票に署名・捺印してその写しをとって返送ということになりましたが、釈然としないものが残りました。


■不動産を買う際には気をつけて…(2003年7月)
 造園業の方が自分の山林と合わせて、隣接する私の妻名義の山林を買いたい人がいるとのおいしい話をもってきました。
 買い手のK氏と直接会って話す機会をつくってもらい、土地登記簿謄本と図面を持参して説明すると、すべて仲介の人に任せてあるからと、正確な説明も受けずまた現地もみていないというK氏の話には驚きました。
 不動産の売買は金額のかさむ取り引きであり、またトラブルもよくあるのです。
 法務局で土地登記簿謄本、公図を取る。所有者に直接会って売買の意思を確認する。現地に足を運んで実際の土地の現況を確かめる。売買契約書を取り交わす。権利証と引き換えに代金を支払う。なるべく早く登記する。このくらいの注意は必要です。決して白紙委任などしてはいけないのです。
 そしてなにより「信用できる人」に相談することです。
 約束を守らない、その場限りの言い逃れをする、必要な書類を出さないまま相手側に履行を急がせる、など不審を感じたら契約を破棄する勇気をもつことも大切なのではないでしょうか。
 

■表示登記は義務付けられているが…(2003年6月)

  先日工務店主から相続登記の相談を受けた際に、建物が未登記と知って、「表示登記は義務付けられており、怠れば過料を課されることもある」などと説明してしまいました。
 ところが、某土地家屋調査士の話では、特に建物の未登記は相当数あり、過料を課された話は聞かないとのことでした。そもそも義務付けは課税のためといわれており、建築届け等で課税されているので実際上の不都合はないということなのでしょうか。
 ともあれ書物のうえの知識と実際の運用の違いというものを教えられました。
 ちなみに、不動産(土地・建物)登記制度の趣旨は、不動産に関する物理的現況とその権利関係を登記簿に公示して、不動産取引の安全と円滑を図ることとされています。
 物理的現況については表示登記として土地家屋調査士が、権利関係については司法書士が専門業務としています。
 表示登記については義務とされ、権利登記については任意とされています。


■ついに全国に報道された過労死(2003年6月)
 
02年度の厚生省のまとめによる過労死認定は160件にものぼると報道されました(6月11日各紙)。
 前述したように、私は役場職員の過労自殺隠しに義憤を覚え、広く社会に報道して、再発防止に役立てようと、昨年「夫の過労死を語る」集いをもったのです(2002年7月記事参照)。
 約1年して日本共産党の日刊紙「しんぶん赤旗」の記事になりました(5月14日付)。「しんぶん赤旗」は今年の1月から実に83回にわたって「仕事が終わらない なくせ過労死」を連載、過労死根絶のキャンペーンを続けました。 (なお、2003年9月新日本出版社から出版された「仕事が終わらない/告発・過労死」にこの件も収録されました)


■遺族年金がもらえた話(2003年6月)

 申請していた遺族厚生年金の裁定通知書届いたとのうれしい知らせがありました。
 相続の相談があり、年金の支給差し止めの手続きをするなかで、遺族年金をもらえることが分かったケースでした。
 遺族厚生年金は、本人の死亡時に「生計同一」の配偶者、子、孫、祖父母などが対象です。
 今回のケースでは、妻(年齢制限ない)は離婚して不該当。子は18歳の3月31日までの年齢制限(1・2級障害者は20歳まで)で該当せず。同居していた80歳をこえる母親が該当となりました(夫、父母、祖父母は55歳以上、支給は60歳から)。
 本人は60歳で亡くなったため、4ヶ月しか年金を受けられませんでしたが、替わりに母親がその約4分の3を引き継ぐことになったわけです。
 私も若干アドバイスしただけに、母親には長生きして欲しいと願うばかりです。
 (なお、労働社会保険諸法令に基づく申請書類の作成及び提出は社会保険労務士以外の者は報酬を得て業として行うことが禁止されています)


■遺言の有効性(2003年4月)
 遺言書らしきものが届いたが見てほしいと依頼があり、伺いました。
 封筒の表書きは届けてきた友人の氏名、裏は本人の氏名。十数年前に預ったそうです。
 便箋に「一人暮らしのため万一不幸の場合財産のことは○○様(注、友人の名)にお願いします」とありました。
 私は、全文自筆で書いてあること(家人が証明)、日付及び署名、捺印もあることから、これは自筆証書遺言の可能性があり、家裁の届けて検認を受けなければ過料に付されることもある、などと話しました。その際、なお弁護士に確認することを付け加えたのです。
 後で弁護士に聞いてみると、財産も特定されず、誰に相続させるかも特定されていないものは、当時の本人の心情をメモした紙切れに過ぎないとの見解でした。私の生半可な知識で相談人に余計な心配をさせてしまったことを恥じいるる結果となりました。
 調べてみると、民法では遺言で法律上の効力をもつ行為として認められているのは、つぎの10項目です。
 (1)認知 (2)財産処分 (3)未成年後見人及び後見監督人の指定 (4)相続人の廃除又は排除の取り消し (5)相続分の指定又は指定の委託 (6)遺産分割の指定又は指定の委託 (7)遺産分割の禁止 (8)相続人相互の担保責任の指定 (9)遺言執行者の指定又は指定の委託 (10)遺贈減殺方法の指定

■保佐開始の手続き間に合わず(2003年4月)
 
知人の紹介で、保佐開始の審判を求める申立ての書類作成を依頼されました。
 静岡で一人暮らしをしていたが、肝臓を患い、兄が実家に引き取って療養させ、最期をふるさとで迎えさせたいと本人を説得して連れ戻したということでした。
 遺言をと公正証書役場に言ったら、遺言は無理、家裁で成年後見制度の申請をと勧められて家裁に相談。
 そこで、説明を受けて保佐開始の審判を求める申立ての書類一式をもらってきたものの、煩雑な手続きから行政書士へとの依頼となったわけです。
 私も初めての仕事であり、書類作成のうえでいくつかの聞きたいことがでてきたので、福島家庭裁判所に出向きました。「家事相談」室に案内され、女性の相談員が親切に教えてくれました。
 書類も揃って家裁に提出する直前になって、当人が入院先の病院で亡くなりました。
 妻とも離婚し、娘を交通事故で亡くし、唯一の身内の長男は病気見舞いにも来ず、葬儀にも顔を出さなかったそうです。でも、母に看取られ、兄弟に囲まれて最期を迎え、ふるさとの地に骨を埋めることができただけでもと、少しほっとした思いが残りました。

■会社関係の登記は2週間以内に(2003年2月)
 朝、産廃と一般廃棄物の収集運搬業者の方から電話がきて、会社の目的を変えたので登記をしたいという相談でした。さっそく伺って話を聞くと、行政の指導で「一般貨物運送業」の新規許可を取ったので、変更登記をしたいとの話でした。商業登記の申請書作成と申請代理は司法書士の業務ですから、私の方で書類をそろえて司法書士の先生にお願いすることにしました。
 添付書類をみると総会議事録の作成は11月初めの日付なのです。すでに2ヶ月以上経っています。実は設立または変更から2週間以内に登記することが決まっているのです。
 司法書士の先生の話では、遅れた場合は法務局から裁判所に報告が行って、裁判所が過料を決めることになっているということです。(実際に過料が課されるかとうかは分かりませんが、「商法」489条には100万円以下の過料とあります)。
 一般貨物運送業の許可が下りてから変更登記すればよいと思っていたということですが、そんなことはありません。総会で決議してから2週間以内なのです。
 ちなみに、会社の「目的」には将来営業する予定のものをあげておけばよいのです。許可がないと目的にあげられないということはありません。しかし、許認可の必要なものは許認可がおりなければ営業できませんので注意が必要です。

■自殺するまえに…(2003年1月)

 役員をしていた会社の負債を保証できなくなり、自殺した人がいるとのうわさが流れています。
 近所の方が犬の散歩がてらに、「先生のような人(行政書士)に相談すればよかったのに」と話していきました。
 どんなにがんばっても返済しきれない債務を負った場合、一日も早く負債を整理しなければなりません。
 その代表的なものに、
 (1)任意整理
 (2)裁判所による債務弁済調停(特定調停)
 (3)自己破産
 (4)個人再生手続き
 などがあります。
 いまでは、相談に応じる様々な窓口があります。
 また、それなりの専門家もおります。
 私もそういう窓口として役割を果たせるようにもっと勉強しなければと改めて思いました。

■インターネットで公開されているヤミ金業者リスト(2002年12月)
 年末になるとヤミ金業者も追い込みに必死になるのでしょうか。
 知人からヤミ金に支払い拒否の通知を出したいので、インターネットで調べてほしいとの依頼がありました。どうするの?と聞くと、「ヤミ金」の検索で出てくるとのこと。
 「ヤフージャパン」で検索すると、「ヤミ金」関連のホームページが1,210件も出てきました。
 53社のうち、公開されている東京都登録業者が13社あり、住所が判明しました。
 犯歴がなければ、四万三千円の登録料を払って誰でもなれるとのこと。また、都登録業者の多くが実はヤミ金業者でもあるということです(下記書籍による)。
 「ハニーハント」「アイサポート」「しんあい」「ハートライフ」などのふざけた名前には嫌悪を感じます。
 自らの正体を隠して法外な暴利をむさぼっている悪徳業者を警察も行政も事実上の野放しです。(ようやく長野県で対応)。
 全国ヤミ金融対策会議が18日のべ1365社を出資法違反で警視庁や各県警に告発しました。
 「どんと来い!借金地獄/多重債務必勝法」(全国クレ・サラ被害者連絡協議会編、KKベストセラーズ)がお薦めです。

 
■農地の売買には農地法のしばりがある(2002年12月)
 知人から農地を小作者(実際に耕作している人)に売りたいという人がいるんだが、いくらかかるのかと問合せがありました。
 所有権移転の登記料のことと思い、司法書士の先生宅に電話で問い合わせましたところ、農業委員会への許可の方はどうなっているんですかとの問い。うかつだったことを思い知らされました。
 通常の売買と違って農地の売買には、農業委員会または知事の許可が必要なのです。
 これは、耕作者の地位の安定と農地生産力の増資を図る目的から、農地を確保しようとするためです。(農地法)。
 農地を買う人がそのままその農地を耕作する場合には市町村農業委員会の「3条許可」、農地を農地以外の目的に転用する場合は県知事の「4条」「5条」の許可となります。
 ともかく早めに農業委員会に出向いて相談をすることが大切です。
 もちろん行政書士はこうした仕事の代理の専門家です。

■初仕事は、産業廃棄物収集運搬業の更新申請(2002年10月)
 8月の末に知人を介して「産業廃棄物収集運搬業の更新許可申請」書類の作成と提出を依頼されました。これが私の初仕事で、10月の末に提出しましたが、市の方は受理されましたが、県の方は再提出という苦い結果となりました。
 個人で建設業をやっていた方が、5年前に産廃の収集運搬業の許可を受けたわけですが、その間に法人に切り替わったのに個人のままで仕事をしていたということです。
 当然、今回「法人・新規」で申請しなければならないわけですが、「新規講習」(2日間)の日程がとれず、「個人・更新」で出すということでした。
 この点はクリアできるのか聞いてみますと、県の担当者も市の担当者も「やむをえない」と了解した、とのことでした。
 県の方で問題となったのは、「産廃業を継続できる財政的な基盤があるかどうか」という点でした。所得税ゼロ(個人・平成13年度)、法人決算もマイナス(平成12・13年度)でした。社会問題になっている産廃の不法投棄で、原状回復などの措置を命じられたときに、当然業者の財政負担能力が問題になるわけです。
 国の方からも、銀行の融資証明を添付するか、中小企業診断士による業務改善計画を付けるかさせて、十分慎重に検討するようにという指導がきているということでした。
 業者の方は「こんな不況のなかで黒字がだせるわけはない。赤字の会社の銀行が融資証明を出すわけないでしょう」と抗議しておりましたが、とりあえず年度を改めて再申請することになりました。

 
■通勤災害適用の要件は(2002年7月)
 7月半ばの夕方、台風災害の対応に日曜出勤した県職員が帰宅途中に国道上で追突死するといういたましい事故がありました。その奥さんの友人から「労災適用にはならないのか」という問合せがありました。そこで私は「労働者災害補償制度ついて」という文書をつくって、届けました。
 業務上の災害の認定のためには、事業主の指示のもとでの仕事上の事故かどうか(業務遂行性)と、そのことと事故との間になんらかの因果関係があるかどうか(業務起因性)の二つの要件が必要とされています。
 また、通勤災害については、「労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を合理的な経路及び方法で往復すること」とされており、この経路の「逸脱又は中断の間及びその後の往復は、通勤としない」とされています。しかしそれにも例外があり、ケースバーケースということにもなるでしょう。(労災補償保険法第7条2、3項)
 労災の認定を受けると、労働者死亡の当時その収入で生計を維持していた妻と遺族(一定の年齢制限あり)に、遺族年金と遺族一時金の
支給があります。
 事故を証明する資料などを添えて事業所または労働基準監督所に請求します。複雑な場合は、事前に弁護士、社会保険労務士または行政書士などに相談するとよいと思います。

■許されない過労死かくし(2002年7月)
 友人の町会議員から、役場職員が自殺し、奥さんが単独で公務災害認定を申請し、過労死の認定を受けたという話を聞いたのは、5月末のことでした。
 驚いたことに、職員が自殺したことも、奥さんが公務災害認定を申請したことも、過労死の認定を受けたこともまったく社会的に明らかにされていなかったのです。
 これでは、あってはならないこうした事故の再発防止につながりません。
 私は、義憤を覚えて、7月15日に私の事務所に議員、労組役員、弁護士、記者など10人ほど集まってもらい、その奥さんをお招きして、ことの経過とその胸のうちを話してもらう機会をつくりました(「夫の公務災害認定についてのAさんのお話を聞いて、過労死問題について考える集い」)。
 奥さんの話では、企業誘致関係の通常業務に併せて、ふってわいた地域振興券担当業務が重なり、2週間前ほどから体調の不良を訴え、、5日前からは「辞めたい」ともらしていたということです。
 その議員らのがんばりで、議会でも問題とされ、「再発防止を町に求める」決議をあげるまでになったわけですが、情報開示を求めても、公務災害認定書(地方公務員災害補償基金福島県支部長佐藤栄佐久)は「個人情報だから」との理由で、まだ明らかにすることができずにいます。
 町長宛に2度にわたって提出された奥さんからの訴え(手紙)は、涙無しには読めないものです。
 

■いとこの急死で「相続の相談メモ」届ける(2002年4月)

 いとこが、4月2日、がんのためわずか2週間余りの入院の末亡くなりました。
 横浜の金融機関に勤め、毎年年賀状をくれ、1年に一度東京で会うのを楽しみにしていたいとこでした。
遠方から駆けつけた親御さんが、悲しむいとまもないまま、葬儀その他に奔走された姿はいたましいものでした。
 私は、少しでもお役に立ちたいと、先輩の行政書士をいただき「相続に関するメモ」を作って届けました。
 独身で子どももいなかったので、相続は「両親」(他に弟が1人)ということで問題なかったのですが、本人が残したマンションの「権利証」が見つからず、3日目にようやくタンスの引き出しから見つかったということです。
 もちろん遺言書などはありませんでした。
 10月になって、友人らのあっせんでマンションは無事売却できたと報告がありました。
 「相続は、死亡によって開始する」(民法882条)わけですが、突然のことでもあり多くの方は戸惑いを覚えるのではないでしょうか。
 「遺言書があるかどうか」「遺言書は法的に有効か」「相続する権利は誰と誰にあるのか」「相続人の相続分いくらか」など、場合によっては複雑にもなります。
 「イラスト六法・わかりやすい相続」(自由国民社)は、裁判所にもおいてあるというすぐれもので参考になります。また、行政書士、弁護士、司法書士などに相談されるのもよいでしょう。

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