'97年11月の本の紹介



「サマー・アポカリプス」 笠井 潔 ★
「空飛ぶ馬」 北村 薫 ★★
「夜の蝉」 北村 薫 ★★★
「秋の空」 北村 薫 ★★
「グインサーガ58 運命のマルガ」 栗本 薫 ★★
「クリスマスのフロスト」 R.D.ウィングフィールド ★★
「蒼穹の昴」(上/下) 浅田次郎 ★★★
「きんぴか」 浅田次郎 ★★

★★★…読まなきゃ損! さぁ、速攻で本屋に行って買おう!
★★…ぼちぼち面白い。本屋で見かけたら買っておくべし
★…手元に本があって時間が有るなら読んでみよう
★のないもの…他に読むものがあればそちらを読んだ方が…


「サマー・アポカリプス」 笠井 潔 創元推理文庫415-02 p535 \820

「サマー・アポカリプス」表紙

 灼熱の太陽に喘ぐパリが漸く黄昏た頃、不意に駆を見舞った凶弾。
その銃声に封印を解かれたかの如くヨハネ黙示録の四騎士が彷徨い
始める。聖書の言葉通りに見立てられた屍が一つ、また一つと、中
世カタリ派の聖地に築かれていく。ラルース家事件の桎梏を束の間
忘れさせてくれた友人が渦中に翻弄され、案じるナディア。謎めく
名探偵矢吹駆の言動に隠された意図は?

 一昨日から読みはじめました。前作は重くそして序盤読みずらかったのだが、そこはシリーズモノの良さか、このニ作目の「サマー・アポカリプス」は前作で既に設定は頭に入っているので、スタートは楽に切れる。
 しかし、噂には聞いていましたが、冒頭で見事なまでに前作「バイバイ、エンジェル」のネタバレをしてくれます。これはシリーズを追って読まないと駄目だな。でもきっと、この本だけ帯が「本格ミステリBEST100 ベスト10ランクイン」なんてなっているので、何も知らずにこの作品だけ買ってしまう人はいると思うなぁ。
 で、このカケルだけど、俺の中でのイメージは何故か「モンスター」(浦沢直樹)の絶対悪の少年なんだな(^_^;)ま、ルックスというかその微笑みがなんだけど。
 昨日+今朝でp129まで。(1997/11/05 10:08:00)

 とくに際立った進展も無く、今朝の電車で184P。
事件の後のアリバイ探りですね。そしてもうひとつの殺害。黙示録をなぞる連続殺人のこれが幕開けなんでしょうか。
 いまいち先を知りたいという訴求力にかけるので、辛い気もするが、まだオープニングなのでこんなもんかな? (1997/11/06 12:04:13)

 読むのがつらいっす。なんでかなぁ。確かに昔に比べて集中力が無くなったというのは有るんだけど。
 やっぱ雰囲気が重い割りに、俺的な興味の方向とは違う所に向いている蘊蓄、とか、事件後のなにやらばらばらと出される整理されていない情報とかが原因だったりするのかな。今の所、話的に進まずに情報収集だけだしなぁ。もったいぶって明かさない人もおおいし(^_^;)<そっちに興味が行かない俺はミステリ読み失格かも。
 てなわけで、今朝は234pまで(1997/11/07 09:35:16)

 金曜に仕事の作業があってアイドルタイムが出来たんでつらつら読み進む。土日と少しずつ読んで今朝は465pもうすぐ終る。
 話は、すこしずつだが進むようになったかな。でも先を読みたいという訴求力には欠ける。日本人がフランスを舞台に登場人物も主人公以外は外国人のまま、これだけ書けるのはすごい事なんだろうとは思いつつ(^_^;)。
 で、とうとう四つの殺人が起こり、このシリーズのワトスン=狂言回しであるナディアが推理を披露。細かく警官のジャン・ポールに修正されるが、そこで犯人とされた人物の独白がこれを打ち崩す。。。 (1997/11/10 12:57:12)

 推理展開編に入ってさくさくと進みました。昨日の帰り+家にて読了。ここにきていろいろな展開が現われて、どんどんと読み進められた。
 それでも、なんとなく分かっていたような血縁関係があらわにされ(だいたいの推理モノの登場人物の裏の繋がりってこれだよね)、 さらに最後の一捻りが暴露される。
 でも実はこの本の魅力ってそんなことではなくて、カケルの暗い思念だろう。これら一連の殺人事件をも利用する黒幕をも含めた舞台装置を、自分の思想議論の道具とするような(<修飾語が長いって)。思念界の魔少年ビューティー(笑)ですね。
 逆にミステリの部分は冗長であまり好きではないかも、個人的には。次作「薔薇の女」は、購入を迷い中。
 とりあえず、「蒼穹の昴」だけど、ハードカヴァーは重いからなぁ。。 (1997/11/11 10:27:11)


「空飛ぶ馬」 北村 薫 創元推理文庫413-01 p539 \580

「空飛ぶ馬」表紙

 どの一編もごく日常的な観察の中から、不可解な謎が見出される
本格推理小説が謎と論理の小説であるとするなら、殺人やことさら
な事件が起こらなくとも、立派に作品は書ける。勿論、これは凡百
の手の容易になしうるものではないが、北村氏の作品は読後に爽や
かな印象が残り、はなはだ快い。それは、主人公の女子大生や円紫
師匠の、人を見る目の暖かさによるのだろう。(鮎川哲也)
 元に読む本が無くなり、昨日の朝は電車で読むものが何にも無くて禁断症状が…。(^_^;)
 「蒼穹〜」にしようと思っていたんだけど、手持ちのお金が\1Kしかなく、本屋に寄って吟味した時、どこかで薦められていたこの本が目に着いた。なんたって推薦文が豪華。裏表紙の粗筋紹介では「鮎川哲也」、見開きでは「宮部みゆき」が薦めています。
 いやぁ、優しくも爽やかで、それで居て存在感がある作風です。いいですね。日常のふとした疑問を解く所は、角川文庫「時をかける少女」のC/W短編「悪夢の真相」(筒井康隆)や、「黒後家蜘蛛の会」(アシモフ)に近い感じかな。
 ちなみに「砂糖合戦」の行為は、ホントにやった知人がいました(@デニーズ)。やめろっつーのに。
 円紫さんのイメージは優しそうで存在感のある落語家という印象が強くて、TVとかにたまに出ているクマさん(名前なんて言うんだっけ?篠原?)をイメージしてますが、作中にもしかしてちゃんと描写した箇所があるのかも。(^_^;)
 昨日の帰り+今朝の電車で「胡桃の中の鳥」p187までです。(1997/11/12 09:26:46)

 読了しました。昨日の帰りの電車+家での寝る前。
 ほのぼの系のみの話かと思いきや、なかにはこんなのもあるのかと唸らせられ、そして最後にまた、ほうっとする。"結構なお手前でした"と読み終わってから居ずまいを正したくなるような、そんな短編集でした。
 謎がいわゆる「殺人事件」などのミステリーとして提示されるものではない所がいい。日常のささいな不思議。日々の中で行間を読めるような出来事があるけれども、行間しか見えない出来事もけっこうある(けれども意味付けできないものであるから忘れてしまう)。そこで洞察力のある人はその日常の「本文」まで読めてしまう。紫円さんのような一歩高い視点が有ると世界はどのように変わって、そして意味付けられてみれるんだろう。(特に俺なんかぼーっとすごしているからなぁ)。
 確かに、最後の解説で「10マイルは遠すぎる」なんていう話が出ているのもうなずけます。 (1997/11/13 09:22:04)



「夜の蝉」 北村 薫 創元推理文庫413-02 p280 \466

「夜の蝉」表紙

 呼吸するように本を読む主人公の「私」を取り巻く女性達…二人
の友人、姉…を核に、ふと顔を覗かせた不可思議なことどもの内面
にたゆたう論理性をすくいとって見せてくれる錦織の三編。色鮮や
かに紡ぎだされた人間模様に織成す巧妙な伏線が読後の爽快感を誘
う。第四十四回日本推理作家協会賞を受賞し、覆面作家だった著者
が素顔を公開するきっかけとなった第二作品集。
 昨日の朝から始めて、帰り+家とで読了。今回は三編からなる中編集。暖かさの中に見せる人のコワサというのは健在です。
 やっぱり表題作「夜の蝉」が一番良かったです。「桜の園」(吉田秋生(漫画))を思い出しました。で、何が違うかというと「涙」ですね。「姉」は見せません、涙を。そこに、暖かく優しさを忘れない文体の中で強さを感じますね。感傷に流されまいとする。
 と、いうと結構亜流はありそうな作風だが、他の作家のありがちな"そうだよね"という淡い共感でもって話を終えない所が、「それだけ」になってしまわない北村節なんだろう。日常のミステリに人間の恐さ。そうして人の恐さを知った上での暖かさ。それが感傷を排除してうまく描かれている所にほうっとするのです。(1997/11/14 10:01:28)



「秋の花」 北村 薫 創元推理文庫415-03 p268 \480

「秋の花」表紙

 絵に書いたような幼なじみの真理子と利恵を過酷な運命が待ちう
けていた。一人が召され、一人は抜け殻と化したように憔悴の度を
加えていく。文化祭準備中の事故と処理された女子高生の墜落死…
親友を喪った傷心の利恵を案じ、ふたりの先輩である《私》は事件
の核心に迫ろうとするが、疑心暗鬼を生ずるばかり。考えあぐねて
円紫さんに打ち明けた日、利恵がいなくなった…
 のシリーズもいよいよ三作目。今回は長編です。
 しかし、このシリーズ、推薦者が豪華です。ニ作目「夜の蝉」の見開きでは「山口雅也」(「生ける屍の死」など)、そしてこの三作目「秋の花」では「久世光彦」(でもこの人は知らない(^_^;))。
 今朝の電車にてp74まで。(寝坊して遅刻ぎみ) (1997/11/14 10:07:43)

 今度は長編です。長編らしく、殺人事件です(不謹慎か(^_^;))。前作に比べていまひとつぬるさを感じましたが、それは「短編」と「長編」の違いか。
 学園モノであり青春モノであるミステリと言えば「ぼくらの時代」(栗本薫)や、「ピタゴラスは手を汚さない」(作者忘れ)、伊集院大介シリーズの初期の作品「やさしい密室」(栗本薫)なんかが思い起こされます。
 この「秋の花」の舞台が女子校という事もあって最後の「やさしい密室」(栗本薫)が印象としては近いものでした。探偵(大人)とワトスン役の女子学生と言う構造や、青春モノならではなの、甘酸っぱさとか。そしてこの「円紫シリーズ」の特徴として煙る暖かい雨に打たれるような優しい感覚があいまって、心に染み込んできます。
 ただ読後感としては、「夜の蝉」に落ちるかな、と。この後この人はどうなるのか…といったところが、欲求不満となって残ります。まぁきっとそれは次刊で言及されるんでしょうがね。(1997/11/17 11:45:26)

 追記:次巻は「六の宮の姫君」はまだ文庫化されておらず、読むのはしばらく先になりそうです。このシリーズとりあえず四部で終わりとか。楽しみにとってきましょうか。(1997/11/24)


「グインサーガ58 運命のマルガ」 栗本 薫 早川文庫JA590 p296 \500

「運命のマルガ」表紙

 中原の未来を左右する重大な決意を胸に秘め、イシュトヴァーン
はナリスに会うためにマルコとともにパロに潜入した。厳重な警戒
をくぐりぬけ、ナリスが養生するマルガの離宮のそばまで近づいた
二人は、国王派の魔導士によって張られた結界をおかしてしまう。
不審な人物として捕らえられた二人を救ったのは、宰相ヴァレリウ
スだった。彼の手引きにより、無事会見にのぞんだイシュトヴァー
ンの口から発せられた言葉とは…。
 シュトとマルコがパロに密使として潜入、ヴァレリウスに見つかりナリスと会見をする。一言で言えばそういう話です。人物紹介もなんとこの四人のみ。シリーズで一番少ない人物紹介欄なんじゃないでしょうか。
 確かに「舞台劇」といった風になってます。暗い舞台にそこだけスポットライトが当たったかの様な、ナリスとイシュト、舞台袖にひそむヴァレリウス。持ってまわった仰々しい台詞もそれを補強します。そんな感じですね。
 歴史は夜作られるなんていいますけど、まさに歴史を作る運命を背負った者たちの邂逅。この先といっても近い未来の中原の一つの運命が提示されます。
今朝は232pまで。
 帯によると外伝が12/11に「魔王の国の戦士」、正伝が1月下旬に「覇王の道」と続きます。スゴイ。月刊グインサーガですね。(というか、外伝のグインの探求が終わるとちょうど時間もリンクして正伝戻れるという計算かな。はやく戻らないと中原もえらい事になてっるてばよ>グイン) (1997/11/17 11:31:53)
 順当に読了。これからの中原の運命を予感させる幕間劇のような章でした。しかし、グインは正伝には全然出てこないなぁ。まぁ外伝の出版も好調だからか。
 しかし、これだとなかなか話が進まないなぁ。 (1997/11/18 10:12:04)


「クリスマスのフロスト」 R・D・ウィングフィールド 創元推理文庫291-01 p534 \880

「クリスマスのフロスト」表紙

 ロンドンから70マイル。ここ田舎町のデントンでは、もうクリス
マスだというのに大小様々な難問が持ちあがる。日曜学校からの帰
途、突然姿を消した八才の少女、ぎんこうの玄関を深夜かなてこで
こじ開けようとする謎の人物…。
 続発する難事件を前に、不屈の仕事中毒にして下品極まる名物警
部のフロストが繰り広げる一代奮闘。抜群の構成力と不敵な笑いの
センスが冴える、注目の第一弾。
 、予告通り、「クリスマスのフロスト」です。これは何年か前の「このミス」にも登場したような。自分としてはこの後の「フロスト日和」も買っておかねばと言う所ですが<今年の「このミス」海外第1位らしいし。(って、まだドラフトの情報ですけれど)
 で、いきなりフロスト警部が銃で撃たれるシーン。なんだこれは???
 これには長い理由がある…それは…、というところで、一週間前に話は戻り、新しく配属されたクライブが警察署に挨拶に行く所から。
てな感じで、今朝は93p (1997/11/18 15:49:45)

 配下に付いた新人を下品なジョークで引かせながら(笑)、少女失踪を別の面から(半分独断で)追う。徐々に手がかりが提示され…。というところで、今朝はp199まで。海外モノの割りに読みやすいです。ただ、登場人物が姓で呼ばれたり名前で呼ばれたりして、横文字が苦手だと覚えにくいかも。タイトルに「フロスト」と付く作品の割りにクライブが主人公みたいな書き方だし。 (1997/11/19 13:30:08)

 昨晩早めに仕事をあがれたので、行き+帰りの電車+家で、読了。読みにくいと読む行為自体が行きの通勤電車のみになるんで、その上なかなかページが進まない本もあったりするのを考えれば、これだけの時間をとって読むのも"読ませる作り"だったから。決して軽くはない文章なのだが読ませますな。
 で、この「クリスマスのフロスト」、いわゆる警察モノなんですが、一つの事件を追う探偵モノでなく、立て続けに様々に起こる事件に出くわしたり通報があったりして出来事がパラレルに起こっていく形になっている。それを読者に訳分からない状態にさせずに、うまくまとめています。フロストの猥雑な軽口も、そのごった煮の様な様相をさらに盛りたてています。しかし品がないっすね(苦笑)。そばにいたらちょっとイヤかも、こんなオヤジ(笑)
 最後、余韻が持てない中途半端にも思える締めが(もちろん事件(複数)はうまくオチがついているんですが)ちょっと物足りなかったかな。「で、フロストはその後どうなったんだ???」と思ってしまうのは物足りないというより、一つの上手さなのかもしれないkれども…。
 なんとなく気になるので、「フロスト日和」も読んでみねば。(ところで、このフロストものシリーズ化していて、本国ではTV放送もされているそうだ)。(1997/11/21 12:00:18)


「蒼穹の昴 上」 浅田次郎 講談社 p351 \1748
「蒼穹の昴 下」 浅田次郎 講談社 p412 \1748

「蒼穹の昴」表紙

 で、けさからはとうとう、「蒼穹の昴」にはいりました。中国歴史モノと聞いていたので、ちょっと躊躇もあったのですが、読み始めてみると即効で心を捕らえられます。
 白太太という老婆から一つの運命を占われたのは、糞を貰っては売り歩く10才になった主人公の少年、春児。その運命とは「汝は必ずや西太后の財宝をことごとく手中におさむるであろう」と言うものだった。春児は、無き兄がガキ大将だった頃に義兄弟の契りを交わした事もあった酔狂なぼんの、文秀の所にその話しをもっていく。。。
 しかし、この作者、これだけの事が書けるというのがすごい。齢を重ねれば書けるという内容ではないよ、これは。ちょっと気になって作者の紹介を見ると、1951年生まれというから、46歳か。その才能にあっとうされます。
 物語は壮大な予兆を含んでこれから展開されるという予感で、もうドキドキです。
 昼飯タイムも読んで、102p(1997/11/21)

 今日は掃除と読書の日でした。読みはじめたら、ハマってしまい、読まずにはいられなかった「蒼穹の昴 上」。
 歴史小説だけあって、運命の大きな歯車が登場人物を絡めとる。そんななかで太白白のあっと驚く告白が。
 ターミネイター2の最後のヒロインの台詞を思い出しました「未来は先の見えないハイウェイ」。そうして自分の運命を切り開いていく。
 そして、また歴史小説だけあって知った名前の人々が登場し思索を練るのも醍醐味か。自分は中国の歴史には疎いので先を読むことは出来ないんだけど、知っている人も知っているからこそ楽しめる読み方も出来ると思います。
 ううむ、つづいて下巻へ。(1997/11/22)

 時代は流れつつ、新しい登場人物が現われ、古い登場人物は静かに去り…まさに歴史小説ですな。
 当初、春児が主人公の成功物語かと思いきや、文秀との運命の交錯を描くのかぁ、と思いきや、これは中国の歴史モノ(まぁそうなんだけどさ)だった、と認識をなんども変える事になりました。
 感情移入しかけると、俯瞰した歴史の流れに話しが戻るので、どうもちょっと登場人物との距離が出来るなぁ。
 登場人物に泣きたいけどまだそれ程じゃない感じで、この倍の本の厚さで語ってくれてもいいと思いました。(^_^;)
 それでも、この後どうなるか(中国の歴史は疎いの)、登場人物の行動はとグングン先にひっぱられます。 (1997/11/25)

 ただいま読了しました。
 不覚にも、泣いてしまった。
 あまりに熱い思い、それぞれの生き方を突きつけられ、それにたいしての明快な返答は、まだ、できない。
 人はなんで生きるのかの浅田次郎の問いかけが、ここに、ある。そういう作品だった。11月のベストです。(1997/11/25)


「きんぴか」 浅田次郎

「きんぴか」表紙


 昨晩「蒼穹の昴」を読了し、その感慨も覚めやらぬまま、今朝は同じく浅田次郎「きんぴか」。
 ハードカヴァーの分厚い本でも出ているが、これは文庫本。ずいぶん厚さが違うので、ちょっと書店で見比べたら途中までみたいだ(もしくは中の章を飛ばしてあるのか?)。そこんところは、後書きも無いしよくわからない。
 さて、この話しは「痛快ピカレスクロマン」とあるように、一本気な悪党(実際はちょっと違うのだが)三人が、その一本気さゆえに社会からスポイル されたところを、叩き上げの警官を停年退職した老人のものとで社会の悪をさばいてしまおう、という話しらしい。
今朝は75pまで。 (1997/11/26)

 さくさくと読了。しかしやっぱり、中途半端な終わり方だった。前に書いたとおりハードカヴァーの方は大長編なのに、文庫はこんなに薄いんだもんな。エピソードが対してないので、これはハードカヴァーの抄録版というより、途中までなんだろう。それにしては続きを予測させるようなタイトルじゃないなぁ。(^_^;)
あと、技術屋的にはコンピュータ犯罪編のアラが気になって。別に揚げ足取りをするつもりは無いけど、知っているとリアリティを感じなくなるんだよなぁ。
一応列挙。
・時代背景はバブル期かな? だったら、音響カプラじゃなくってモデムでしょう(^_^;)。ノートブックとかいっているんだし。<あ、その頃は公衆電話からはコードつなげなかったか。(^_^;)<と、これは自己完結。
・スパコンだか、メインフレームだかはっきりしない通信会社のコンピュータ。
・アラじゃないけど、ユーザ50万人とかって、もしかしてNiftyServeを念頭に置いているのかな?
・アクセスポイントからのログインて普通はシステム権限では入れないのでは? (サーバまではともかく、M/Fレベルまでは) しかも普通ローカル端末ぐらいしか権限与えていないと思うなぁ、あれだけのことをするには。もしくは専用線じゃ ないの?セキュリティ重視なら<でも、じつは商業BBSはよくしらないの。PC-VAN(現biglobeならACOS6だと聞いた事があるけど)
・普通の会社ならバックアップくらい取っているってば。それじゃなくても通常のハード故障があるんだから。
・データは持ってきてもまだつかえるけど(でもDBの中ならバイナリ処理をしてある気がするが)、プログラムはハードに左右されるから動かんでしょう。Windows95とかいう世界じゃないんすよ。もうメーカ固有の世界ですから。だからプライムの端末がリバティログインを聞いてくるのはナンスンスかな…まぁダム端末じゃなければあり得るか…信長の野望していたくらいだし<でもそうするとどうやってインストールを?(^_^;)
・インストールで思い出したけど、それだけの量のデータ&AP(何テラレベル?)を一瞬にして転送するのは不可能。専用線128kでも…計算面倒だからしないけど、トラフィック的にむりでしょう。<あ、でも密かにコピーは取っておいて、壊す時は一瞬というのはあるな。

 ま、でも、浅田次郎の「まっすぐ生きる節」は通っていて楽しめました。あとこの人の作品て(ってまだ読んだのはニ作目だけど)、豪華絢爛で映画的ですね。蒼穹もすげーお金かけてやってみて欲しいし、これの「きんぴか」もしかり。

なんか欲求不満な文庫化だったのでハードカヴァーを買うかも。 (1997/11/27)
 追記…帯にどでかく「直木賞作家」とかかかれると買うのにこっぱずかしいなぁ(^_^;)。本読みの矜持として。(1997/12/20)


HOME PAGE