'97年7月の本の紹介


「グインサーガ外伝10 幽霊島の戦士」栗本 薫
「輝く永遠への航海」(上・下)グレゴリィ・ベンフォード
「まどろみ消去」森 博嗣  講談社
「敵は海賊・A級の敵」神林 長平  早川書房
「千尋の闇」(上・下)ロバート・ゴダード  創元推理文庫
「ディプロトドンティア・マクロプス」我孫子武丸 講談社

「グインサーガ外伝10 幽霊島の戦士」 栗本 薫 早川文庫JA p319 \520

「グインサーガ外伝10 幽霊島の戦士」表紙

 ケイロニアの皇女シルヴィアは、希代の美貌の色事師ユリウスに
よって誘拐されてしまった。その裏には、グインの力の秘密を求め、
グインを自分に従わせようと望む<闇の司祭>グラチウスの存在が
あった。グインは単身、愛するシルヴィア捜索のためアルセイスを
旅立つ。たどる道は赤い街道の続く国境の森林地方。めざすのはグ
ラチウスによる罠がいくえにも張り巡らされた、恐るべき魔物の跳
梁する死の王国だった

 グインサーガ外伝10巻っす。月曜に八王子に行った時本屋で見つけて購入しました。他にも本屋には行ったけど、他の場所では見なかったな。(売れてるの?) 今のところ195pまで。
 シルヴィアを探しての冒険の続きです。グインが赴くのは、愛と魔法の王国…ぢゃなくって(それはディズニーランド)、魔物の跳梁する死の王国ゾルーディア。再び姿を見せたその王国は以前にも増して魍魎のばっこする土地であった。
 ひさびさすぎて忘れていたけど、グインはケイロニアの皇女を追っていたんだよね。マリウスも一緒に捕らえられていたんだっけ?…まぁ今回の特筆すべき点はオープニングに早川書房編のいままでのダイジェストストーリーが載っている事です。これが、また、加藤直之、天野喜孝のイラスト付きだぁ。加藤さんの絵も懐かしいね。この肉厚なグインの方が俺は好きだったな。イシュトとかも健全だったし。そうそう、今回のカヴァーイラストは、末弥純です。(なんの断りもなかったみたいだけど、外伝は前からこの人の表紙だっけ?)
 あ、あと、グレゴリーベンフォードの新刊も入手(1997/07/02)
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「輝く永遠への航海」(上)グレゴリィ・ベンフォード 早川文庫SF 上・p390 \740 
「輝く永遠への航海」(下)グレゴリィ・ベンフォード 早川文庫SF 下・p394 \740 

「輝く永遠への航海」表紙

 機械生命に追われ銀河中心のブラックホールを包む領域に侵入し
た人類の末裔、ビショップ族。その一員トビーは仲間とはぐれ、時
空を素材に作られたエスティ空間に迷いこんだ。さまよう彼の前に
出現したのはナイジェルと名乗る謎の男この男こそが人類として初
めて機会生命と接触し以来三万年余も人類を見守ってきたのだ。機
会生命に打ち克つ鍵を求めトビーはナイジェルと共に知識の源<銀
河系図書館>に赴くが…
 上下巻で約800ページ。これは、グレゴリィ・ベンフォードの大きな未来史<銀河中心>四部作
 「大いなる天上の河」Great Sky River(1987)
 「光の潮流」Tides of Light(1989)
 「荒れ狂う深淵」Furious Gulf(1994)
に続く完結編である。 また、
「夜の大海の中で」In the Ocean of Night(1977)
「星星の海を越えて」Across the Sea of Suns(1984)
のこれらの作品をプロローグとする機械化知性対有機生命の一大物語の終幕でもある。
 いやぁ、疲れました。いままで読んできた手前、読み終わらせること自体を原動力に読み進めてました。そもそもこのベンフォードのシリーズ、当初の「夜の大海の中で」からオチの付かないまま、機会生命との戦いの渦中に巻き込まれた人類を描いているのですが、このオチの付かないまま放り出されるというのが、収まりが悪くて非常に辛い。オチって言うのは、なんで機会生命が人類(というか有機生命を狙うのか)といったあたりですね。
 たいていのSFは、世界を見せていく事で、センスオブワンダーを満足させつつそれを訴求力に読んでいくんだけど、これ作品シリーズは状況状況の積み重ねで、なんで?とか状況からの読み手の推理により読み解いていくような余裕がないんですよね。ここらへんに辛かった問題点があると思ってます。
 でもって、この巻でそこらへんはかたられるんだけど、作者の思いいれが強かったせいか 後半にかけて既出登場人物の百花繚乱。ハインラインの「獣の数字」状態です。ここらへんがまた辛かったな。ハインラインに較べて思い入れないし。(実はシリーズの前の方の作品はあらすじもけっこう忘れているかも(^_^;))
 また、謎自体もそんな大したモノじゃなくそれを原動力に読んでる者にとってはつらいですな。
 てな感じで、評価的には星一つです。


「まどろみ消去」森 博嗣 講談社 p272 \760 

「まどろみ消去」表紙

 大学のミステリィ研究会が「ミステリィツアー」を企画した。ビ
ルの屋上に案内された参加者達は、離れた建物の屋上で、三十人の
インディアンが踊っているのを目撃する。現場に行ってみると、そ
こには誰もいなかった。屋上への出入口には見張りが立られていた
というのに。参加者たちはこ謎を解くことができるのか?(「誰もい
なくなった」)
 著者初の、そしても森ミステリィのエッセンスが全て詰まった全
編書き下ろし短編集。
 3編くらい読んでたんだけど、本格というより、ショートショートですね。阿刀田高あたりの感じがします。 (1997/07/15)
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 実は、コレを読了するまでにハプニングがありまして…。短編集で読みやすいと言う感じなので、持ち歩いていたんですけど、そのせいで落としてしまいました(^_^;) あせってましたけど、落とすとしたら当日行ったジムだなってことで、翌日、受付で聞いたらありました。ほっ…。
 本自体は全体的にはミステリというより、前に書いた通りショートショート。しかも、オチまでの構成的が似たような作品が多かったと思います。ミステリとして読めるのは、「誰もいなくなった」という作品。萌絵が出てくる短編の一つです(もう一つは、その前に入っている「ミステリィ対戦の前夜」です…けど、こちらはミステリ?) もっぱら内輪受け的なものが多かったので、森博嗣を薦められて初めて読む時に短編集だからと言ってこの「まどろみ消去」を選ぶのはやめた方がいいでしょう。最初に読む方は、王道として「すべてがFになる」からちゃんと読んでくださいね。俺はこのシリーズ、最初の作品である「すべてがFになる」が一番面白かったと思うんですけど。雰囲気と言い謎といい…。(次点で「封印再度」。英題("WHO INSIDE")とのシャレも格好いい)。だんだん萌絵と犀川助教授の恋愛コメディになっているのではないかと…(^_^;)
 また、今回の本の価値と言えば、コレでしょう! 裏表紙の折り返しの今後の出版予定表。今までは「まどろみ消去」までしか予定になかったので、すわこれでシリーズ完了?なんて憶測もとんでいました。今回の出版予定によると、このシリーズ全10巻のようです。
 次作以降の予定をあげておきましょう。
 幻惑と死と使途 Illusion Acts Like Magic
 夏のレプリカ Replaceable Summer
 いまはもうない Switch Back
 数奇にして模型 Numerical Models
 有限と微小のパン The Perfect Outsider
 ここで、シリーズ最終作に注目。英題が"The Perfect Outsider"っすね。これは、「すべてがFになる」の英題"The Perfect Insider"と対をなすモノ。カッコイイ〜。
 もっともこれでシリーズ終わっちゃうなら、そんな喜べないんですけど(^_^;)。なんにしろ期待は大です。今後、真賀田博士再来はなるのか???
 追記として、この本文イラストレーションは山田章博です。当HP本の紹介でも「魔性の子」「十二国記シリーズ」のイラストでお馴染みですね。

「敵は海賊・A級の敵」神林 長平 早川書房 p365 \600 

「敵は海賊・A級の敵」表紙

星から星へ渡りあるき、どの星系にも属さない宇宙キャラバンの一
つマグファイヤ・キャラバンが破壊された。居住船を兼ねた指令船
を中心に数十から数百と言う動力付きコンテナをほとんど破壊しつ
くすというのは、並み大抵のものではない。海賊課は宇宙刑事セレ
スタンに遭難原因の究明を命じた。ところがそこに、ラテルチーム
の宿敵、宇宙海賊・ヨウ冥が乗り出してきたのだ。-新キャラクター
を加えて、シリーズますます快調。
 「敵は海賊 A級の敵」を読了。今回、食い意地の張ったアプロを喰おうとする敵の話。しかし、アプロは、その敵をも食べようとするんだよな。でもってお互い千日手。(っていうか三すくみと言おうとしたけど二者なので(^_^;)。この場合なんていうの?)
  敵は過去に研究所より逃亡し、野生化したA級コンピュータ知性であることが判明(ちなみにラジェンドラはAAA級)。両方に敵対する海賊、ヨウメイ(←って、漢字が出ないんだけど(^_^;ゞ)としては、このまま潜在的敵として、二者が存在する事は好ましくなく、介入する事になる。そうしなければ二者は、潜在的に存在しつづける、まさに「永遠の」の敵。
 そこにはラジェンドラの計算もあり、Ω空間位相変換で、お馴染みのキャラ+新登場の海賊課&海賊入り乱れての、騒動とあいなる。
 俺としては見開きの裏、著作権の所の表示(↓参照)に相変わらずにやりとさせられて…。
------------------------------------ HORUS S.R.System.version3 Copyright (C)1997 by Zachsen Inc. Copyright (C)1997 by KAMwood&Co. ------------------------------------
「敵は海賊・海賊版」の設定を引き継いでますな。
 でも、あえて言うなら、後書きも作者の名前でなくて、コンピュータプログラムなんかにして欲しかったなぁ(^^)。ま、でも今回のこの後書きは、メタ的では無く、作者の所子解説的に書いてあるのでしょうがないかなぁ。(1997/07/16)

「千尋の闇」(上)ロバート・ゴダード 創元推理文庫 p411 \720 
「千尋の闇」(下)ロバート・ゴダード 創元推理文庫 p421 \720 

「千尋の闇」(上)表紙

 1977年の春、元歴史教師のマーチンは、悪友からの誘いに乗って
ポルトガル領マデイラへ気晴らしに旅にでかけた。思えば、それが
分かれ目だった。到着そうそう、友人の後援者である実業家に招か
れた彼は、半世紀以上前に謎めいた失脚を遂げた、ある青年政治家
にまつわる奇妙な逸話を聞かされる事になったのだから…。希代の
語り部が二重底、三重底の構成で贈る、偽りに満ちた物語。
 今日、何気に本屋に行って買ってきました。上下巻合わせて800ページ強。一気に読ませるという帯を見て買ってしまいました。コレも一転二転する展開らしいです。ちなみにタイトルは"ちいろのやみ"と読ませるそうです。
 どっかで見たと思ったら、池田先輩のお薦めだったけ?(って、このページ読んでないと思いますが(^_^;)) (1997/07/21)
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 面白い、面白い。読了しまして、さっそく周りの人には啓蒙活動に入っております(笑)。一転二転する謎。徐々に収束していく伏線。そしてプロットだけでは無く、人を語る物語。素晴しいです。
 気丈で筋の通ったエリザベスが魅力的なキャラクタでした。「トムは真夜中の庭で」のおばあさんの様で。
 ゴダードは「リオノーラの肖像」という邦訳が文春文庫から出たそうなので、買って読んでみようと思ってます。


「ディプロトドンティア・マクロプス」我孫子武丸 講談社  p213 \740 

「ディプロトドンティア・マクロプス」表紙

 京都で探偵事務所を開設した私に、依頼人が二名。失踪した父を
探してと言う女子大生と、「カンガルーのマチルダさんを探して!」
という美少女。
 動物園「ノアズ・アーク」に潜入し、調査を開始した私は突然、
暴漢に襲われた。妨害工作は何のために? 今日とを揺るがす大騒
動はこうして始まった!
日曜日に買って、「千尋の闇」を読了したので、今朝から読み始めました。「千尋〜」の勢いの続きか、さくさく読めます。しかもそこそこおもしろい。
結局、行きの電車&昼休み&帰りの電車の途中で読み終わりました。
俺って、我孫子武丸はこの作品が初めてなんだけど、これで認識しちゃってよい訳かな? 要は、コバルト系っぽい作りで、ユーモアミステリというか、ユーモアハードボイルド(なんか矛盾?)という感じ。「砂の中の扉」なんてSFを思い出しちゃいました。(「砂の中〜」は、プラス青春SFなんだけど)。(1997/07/30)
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