2000年1月の本の紹介

UPDATE 2001.1.21.

書名 著者 評価 bk1
●「エンディミオン」ダン・シモンズ★★★ 注文する
●「エンディミオンの覚醒」ダン・シモンズ★★★ 注文する
●「さようなら、ロビンソン・クルーソー」小松左京、かんべむさし・編★★ 絶版
●「quater mo@n」中井拓志★★ 注文する

★★★…読まなきゃ損! さぁ、速攻で本屋に行って買おう!
★★…ぼちぼち面白い。本屋で見かけたら買っておくべし
★…手元に本があって時間が有るなら読んでみよう
★のないもの…他に読むものがあればそちらを読んだ方が…


●「エンディミオン」
 ENDYMION (1996)
ダン・シモンズ
Dan Simmons
酒井昭伸 訳
早川書房
海外SFノヴェルズ
1999年2月28日(初版) p598 \3000 |
「エンディミオン」表紙

 32世紀、<テクノコア>の消滅とともに連邦が崩壊して三百年足
らず、宇宙は星間政治と結託したカトリック教会、パクスの神権政
治の元に統べられていた。
 惑星ハイペリオン──。パクス法廷の即決裁判により冤罪のまま
刑死したはずの青年ロール・エンディミオンは、とある城塞の一室
で再び覚醒した。やがて傍らに傅くアンドロイドの案内のまま、そ
こが廃都<エンディミオン>であることを知らされた彼は、待ち受
ける一人の老人に引き合わされ、その正体を知って驚愕した。その
老人こそ、教会によって禁書とされた『詩篇』の実作者にしてかつ
てのハイペリオン巡礼の一人、詩人マーティン・サイリーナスその
人だったのだ!さらに老詩人はエンディミオンに驚くべき予言を告 
げる。<時間の墓標>が間もなく開き、一人の少女が現れる。彼女
こそが全宇宙の命運を握っているのだ──。
 かくして、エンディミオンは<時間の墓標>を目指し旅立ってい
った。全宇宙の命運を握る一人の少女、来たるべき<教える者>を
迫りくるパクスの魔手から救い出すために。

ヒューゴー賞、ローカス賞をはじめ数多の賞に輝く『ハイペリオ  
ン』『ハイペリオンの没落』に続き、人気作家シモンズが放つ傑作
SF叙事詩、堂々の第三部!

◆1/7読中。「エンディミオン」ダン・シモンズ
 あれから三百年、<テクノコア>は崩壊し、惑星は、聖十字架による現世での復活を約束した(そして約束が守られる)パクスの神権政治によって統べられていた。
 惑星ハイペリオンで狩猟ガイドを営んでいたロール・エンディミオンは、自衛のための発砲で死刑を言い渡された。信条により聖十字架を受け入れることなく(よって復活を約束されることなく)死刑執行がおこなわれたはずだったが…目覚めると城塞の一室にいた。そして老人――彼こそ「詩篇」の作者であるマーティン・サイリーナスであったのだが――に、<時間の墓標>に現れる少女の救出を依頼される。一方、人口6000億を擁するカトリックの教皇は、デ・ソヤ神父大佐に全権委任を示す<教皇のディスキー>を与え、少女を捕獲せんとする。
 何万もの軍勢を相手にエンディミオンに策はあるのか?
 ということで、ハイペリオン二部作に続くシリーズの堂々の開幕!。
 さすが、シモンズ、魅せます。どう危機を回避するのかで引っ張ります。そしてその先には、また危機、そしてまた危機。それぞれ展開が起こるとなるほどそう来たか、と。事象までは材料はすべて提示されているからウマイっともまた思う。そしてまた、でも次の危機は?と次々と引っ張られて行ってしまう。
 描写は饒舌にして濃厚なのに、さくさくとページが進むのはダン・シモンズの力量でしょう。もちろん酒井氏の訳も。
 とりあえず毎日わくわくと読み進めております。至福の時。

◆1/4<border新年会>
 給仕犬さん主催のsfborder新年会(ホントは小太郎さん歓迎オフ?)に参加しました。
 一次会は、東方見聞録。なんやかんやで21名。すごい人数。
 俺は、隣がりなりなさん、向かいはかわかみさん、その隣が七沢さん、その向かいが大川さんという席。話はいろいろとしたような気もするんですが、七沢さんとりなりなさんの「ハサミ男」でカーテンレールで自殺は荷重がありすぎて出来ないだろうというのと、<医師>の方がキャラが立っているという話(まぁ、これは俺はキャラが立っているというより、類型的だからだと思うんですが<「マインド・アサシン」@ジャンプみたいな)、あと大川さんとゼラズニィの話をしたかな。アンバーの映画化は特に決定ではないので企画立ち消えの可能性も高いという話とか。俺的には映画化はどうでもいいんだけどその際の復刊に期待したいところ。他、オンラインでは支障がでる話なども(笑)
 メインディッシュの小太郎さんは終わり際に登場で、その際にみなさんで自己紹介。まぁページと名前いうだけなのと、3/4の方は面識があるのでもっぱら話に興じていましたが。
 二次会は、西武。どやどやと入って、一次会では二つのテーブルに分かれていたためにあまり話せなかったメンツと合流。平野さんも二次会から合流(withたこ焼き味プリッツ)。平野さんと森山さんの突っ込み合いが面白かったです。その横で給仕犬さんも要所要所でトバしてましたが。(「あっちはムーミン谷だから」とか。)。で、なんだっけ?いろいろと話した気もするんですが、すぐ忘れちゃうなぁ。俺が振ったのは忘年会で聞き損ねた「『クリスタル・サイレンス』は本当に面白いか?」と「なぜ森山さんの掲示板書込は(無題)か?(そして、新年書込に「賀正」と書いてあってみんながびっくりしたとか)」。あと話題的には「誰それの訳は読みやすいか?」「YAHOO!オークションは暴利だ。いやそれならそっちのムーミン谷の人がやった方が…」「目黒の次郎ラーメンに行こう(ちなみに溝口さんは三田のは好きではないらしい)」「イーガンの『順列都市』は面白いか?」「『魂込め』は面白い」「『星虫』は面白いが『イーシャの船』はいかがなものか」「山田正紀の『神曲法廷』は面白いが『長靴を履いた犬』はいかがなものか」「復刊された山田正紀はよかったよ。いや、確かに今ではないスピーディーな展開だが先走りすぎ。でも10年前だしなぁ」等々。青木さんには牧野修をいただく。ありがとうございました。
 で、蛍の光が流れるまでダベり、解散。
 そういえばなんでborderかという話が出てましたね。SFborderの名前の通りSF境界文学の話だからなんですが、今回SFがとれてborderになったらしい。俺的な説ではキチクとニンゲンとのborder。でも主催者はあっちの谷に行っちゃってますね(笑)。あっちの谷(ムアコック風だとリンボ)と俺たち現世を繋ぐという意味かも。


◆1/8(土)読了。「エンディミオン」ダン・シモンズ
 まさに、大人のための、空想科学大冒険活劇。
 今は崩壊してしまった星間ネットワークにより惑星上を繋いだ大河<テュテス>の残滓の上、アイネイアーがくぐるときだけ復活する放棄された転移ゲートで巡るロール・エンディミオンとアイネイアーの冒険そして逃避行の日々。交互に語られるエンディミオンの章とデ・ソヤ神父大佐の章が近接しそうになる度に緊迫感は高まり、少女アイネイアーの目的は匿されたまま、物語の流れは、先に見えている滝を控えて、ますます速くなっていく。
 デ・ソヤ神父の純真性にもつい応援してしまいながら、未来は先の見えない混沌に。そして最後には<テクノコア>の無情なる手先が…。
 ということで、後半は一気に堪能させていただきました。テクニックを駆使して、一つの接近ごとの盛り上がりと最後の大冒険は圧巻。この600ページという厚さを感じさせませんでした。いや、もっともっと続いていて欲しいという、楽しい本を読んでいるときのネバーエンディングストーリ願望が…(笑)
 しかし、未来の不確定領域でのアレは「砂の惑星」を彷彿とさせるし、大河のイメージは<リバーワールド>か? そして逃避行はガンダルフの一行を思い出したりして…いろんな意味で俺的にもSFの集大成でありました。
 今回は冒険物語中心に話は進み、あれからの勢力の趨勢は語られず、謎はまだ閉じられたまま。そちらは次巻に持ち越しと言うことで、まだまだ楽しませてくれそうです。そして次巻があるということがまた嬉しい、このワクワクは本物です。
 てな事で、今は「エンディミオンの覚醒」を読中。
 そうそう、先日の新年会の話題の補足。
 「俺的には山田正紀(の復刊したヤツ=「弥勒戦争」「神狩り」)は蘊蓄がなかった のでいまいちだった」という話をしてたような。俺は主義主張論者ではないのでSFのベキ論 としてはあんまり話さないはずなんだけど、酔っていたのでよく覚えてない(^_^;)。一般論と してではなくて、この作品のこの引っ張り方で蘊蓄を語ってくれなかったのは肩すかしだし物 足りなかったという話なんだけどね。伝奇路線なのに肝心の古文書がないという感じ(ってこ んな例えはますますわからないカモ)。てなあたりは去年復刊本を読んだときに書いたけど。 まぁ10年前の本にいまさらという反論はわかります。今の山田正紀に文句行っても詮無きこ とだし(笑)
 余談ですが、俺は「SF定義」も結局は「俺SF」論争になるだけだという見解。それを押 さえた上での議論は楽しめますけど。




●「エンディミオンの覚醒」
 THE RISE OF ENDYMION (1997)
ダン・シモンズ
Dan Simmons
酒井昭伸 訳
早川書房
海外SFノヴェルズ
1999年11月30日(初版) p814 \3800 |
「エンディミオンの覚醒」表紙

 32世紀、<連邦>の<崩壊>から約300年後、人類星域はふたた 
びひとつにまとめられ、カトリック教会を主体とするパクスの支配
下にあった。辺境の惑星ハイペリオンの若者ロール・エンディミオ
ンは、死刑判決を受けたものの謎の老人に助けられ、驚くべき依頼
をされる。もうすぐ<時間の墓標>から出てくる少女アイネイアー
をパクスの手から救い出し、少女が宇宙の命運を決める<教える者
>となるまでいっしょに旅をしてくれというのだ。さらには、史上
最強の権力を誇るパクスを滅ぼし、教会を権力の座から追いやって
くれという。できるかどうかわからないものの、頼みを引き受けた
エンディミオンは、少女アイネイアーとアンドロイドのベティック
とともに星から星へと宇宙をめぐり、ついに惑星地球にたどりつい
た。そして、さらなる冒険へと旅立とうとしていた。
 いっぽう、新教皇ウルバヌス16世ひきいるパクスは、大天使型
戦艦の機動艦隊を非キリスト教徒であるアウスター討伐に送りだす。
さらに<テクノコア>の恐るべき手先たちがアイネイアー追跡を再
開したのだが……

 ヒューゴー賞をはじめ、英国SF協会賞など数々の賞に輝く、壮
大な未来叙事詩ハイペリオン・シリーズ、待望の完結編。
訳者あとがき:酒井昭伸

◆1/12(水)読中。「エンディミオンの覚醒」
 順調に読み進めております。
 しかし、通勤読書――、「エンディミオン」でハードカヴァー2段組600頁でしたが、「エンディミオンの覚醒」ではハードカヴァー二段組800頁と三割り増し。いや、なんの、「屍鬼 上」が終わりそうなんで、「屍鬼 下」も一緒に持って出たときもあるぞ!(笑)
 この「覚醒」では、「エンディミオン」から四年後、オールドアースでフランク・ロイド・ライトに師事を受けた16才になったアイネイアーに促されてのエンディミオンの転移ゲートを使った旅が始まる。
 動きを察知した<テクノコア>と、それに連動したパクスは再び彼女を抹殺せんと動き出す。パクスの教皇は復活を迎え、古代聖戦時代の教皇の名を襲名する。一方、教会内の別派閥や、資本主義経済を標榜するパクス=マーカンティラス勢力も虎視眈々と権力の拡大をねらい、マキャベリストなパワーゲームが行われていた。そして折りも折り、「エンディミオン」で登場した聖十字架の復活を前提とした超高加速による致死的航法を活用した大天使級の戦艦7隻が対アウスター戦として就航し、辺境の惑星で一神父にまで降格されていたデ・ソヤが、一艦をあずかる神父大佐として呼び戻される。
 <テクノコア>もパクスから急使船を召還し溶岩に埋め込まれていた使者を取り戻す。
 圧倒的な戦力差の元、エンディミオンは宇宙船までたどり着けるのか? アイネイアーと再会できるのか?  修羅行くシュライクも、「T2」のようにサポートしてくれる側に回り、バージョンアップまでしたらしく、健在なのも懐かしい。
 今回、視点は、それぞれの勢力をあちこちに照らしながら切り替わっていく。俺的には教会と良心とに挟まれた、誠実なデ・ソヤ神父大佐の行く末が気になるところ。そもそも今の物語を語っているエンディミオンは「シュレディンガーのネコ」な死刑を執行中だし。この<現在>にいつ到着するかもハラハラしますです。
 てなところで約1/3まで。
 まだまだ先が長くて嬉しいやら、読み終わるのがもったいないやら。

◆「エンディミオン」追記。
 「指輪物語」的にはゴクリ役がXXだったりするんだろうなぁ。とか。
 A.ベティックはエイリアン2を思い出したり(人間を土壇場でかばったりすると結構涙腺にきます(笑))、ていうかそもそも”A.”な敬称に(”R”じゃないですが)懐かしさを覚えたり。
 と、ちょっと連想した事などを忘れないうちにメモ。

備忘: ◆ローラーボードを購入


◆1/14(金)読了。「エンディミオンの覚醒」ダン・シモンズ
 金曜日の内に読了しました。最後は一気に。
 感想は早めに上げようと思ったのだけれども、書こうとするたびに余韻に浸ってしまって、筆が進みませんでした。でも経験上、なんでもいいから書いておかないと、日が経つにつれてどんどん感想がボケていってしまうんだよね。ということで、思いついたまま行きます。
 まずはあらすじの続き。
<以下 ネタバレマスク>
 様々な人々との邂逅を果たす事となった驚くべき人類史上最大の建造物<生物圏>=スフィアは、パスク艦隊によって蹂躙されようとしていた。なんとか手だてを考える一行だったが時間は無情にも過ぎていく。
 アイネイアーは一行を聖樹船に乗せ旅立ち、猛進が続くパスク艦隊の間隙を縫って今まで訪れた人類の植民されている惑星すべてに一人一人を降ろしていく。
 そして最後、彼女が、その血を分け与えた後、エンディミオンとデ・ソヤ神父と共に向かったのは、パスクの本拠地であった。教皇の現れた大聖堂でアイネイアーはエンディミオンと共に捕まってしまう。
 アイネイアーは、拷問室で拷問を受ける。<テクノコア>のエージェントとルールドゥサミー枢機卿の見守る中。これは<テクノコア>あらゆるセンサーの見守る中アイネイアーを転移させその仕組みをトレースしようという罠でもあった。淡々と教え諭しながらアイネイアーは拷問を甘受する。そして火炙りにされ、こと切れる…。
 以上をエンディミオンは宇宙船の中で、アイネイアーの血による覚醒を受け、感じ取る。アイネイアーの教えであった<死者の声を聞き><生者の声を聞く>という一歩を踏み出したのだ。物語を語り尽くした今、エンディミオンはシュレディンガーのキャットボックスの中で、さらなる覚醒への一歩を踏み出す。
 その一歩とは<転移>の力であった。アイネイアーの遺言により、パスクの惑星に降り立つエンディミオンを待っていたのは荒廃した都市と、キー伍長だった。彼は、アイネイアーの血を嗣ぐ者達により、拷問室でのやりとりとそこで説明された驚くべき真相――そして彼女の苦痛――が、ありとあらゆる惑星に中継されたと話す。
 エンディミオンは次に老詩人マーティン・サイリーナスの元へと向かう。オールドアースへ老詩人を連れ出すが、そこで、思いもかけぬ再会を果たす。
 それはアイネイアーとの過去に約束された2年であった。そして一つの壮大な物語は幕を閉じる…。
 というわけで、まさに壮大。上下巻合計1400頁超の物語はこうして終わるわけです。読んでる最中、夢に出ましたもん。逃避行が。そういえば「指輪物語」も逃避行を夢にみた覚えが(笑)。
 最後のアレは、なんども強調されているのでもはや自明ではあったのですが、やっぱり「よかったね、エンディミオン」と言いたくなりますね。まぁ「なぜ気付かない」(C)マトリックスではありますが。ロバート・ゴダードの主人公並(笑)
 しかし、壮大に織り上げたSF叙事詩でありながら、一本「ラブロマンス」という芯が通っているってのもハイペリオンにはなかったエンディミオンの醍醐味でしょうか。何をおいても一緒にいたいという心の渇望を初心に返って思い出しちゃいました。そして救世主としての運命とそれに立ち向かうアイネイアーの健気さ芯の強さ。宮崎駿的なヒロイン像な気もしました。「未来は先の見えないハイウェイ」(C)T2というフレーズも、「砂の惑星」と共に思い出したりもして。
 世界樹のシーンでは、どうもFFのタマネギ剣士を思い浮かべてしまった。二頭身キャラじゃないのに…。
 他、シュライクの謎、迷宮惑星の謎、聖十字架の謎、テクノコアの謎など、縦横無尽に張り巡らされた糸が解体されていく醍醐味も十二分に堪能しました。
 再度登場する「レイチェル」の「しーゆーれいたー・ありげーた」で、ぐぐっとこさせる所なんて、やっぱシモンズ、ツボを知ってます。
 シモンズ版「愛は流れる」(?)つーことで、90年代後半の堂々BESTですね。読んでいない人は是非「ハイペリオン」からどうぞ。いやぁうらやましい。これからこの物語を読む楽しみが残っているなんて。
 恒例の引用です
 (ぼくはあまりにもおおぜいの人々との別れをくりかえしてきた。あまりにもおおぜいの 人々に自分でやるべき仕事をゆだね、自分の戦いをまかせてきた。これからは、自分自身で自 分の戦いにとりくまなくては。そして、もういちどアイネイアーに会えたら、もう二度とそば を離れないようにするんだ)
 その決意は、身内で怒りのように点火し、はてしなく広がる雪景のなかにつぎの転移リング を見つけられない焦燥で、いっそう熱く燃えあがった。p262
そして、自分が不死であったなら、とてもこんなことは学べなかっただろう。生に対するこれ ほどこれほどの愛着は、不死者には絶対に持つことができない。つねに死と喪失の影のもとに ある者だからこそ、これほどまでに生がいとおしいのだ。p756

 で、次は軽めに集英社のSFアンソロジー「さようなら、ロビンソン・クルーソー」(小松左京、かんべむさし・編)へ。




●<海外SF傑作選1>
さようなら、ロビンソン・クルーソー

 GOOD-BYE, ROBINSON CRUSOE (1977)
小松左京・
かんべむさし編
集英社コバルトシリーズ昭和53年11月10日(初版)
昭和53年12月25日(二刷)
p292\280|
「さようなら、ロビンソン・クルーソー」表紙

 南太平洋の島・ラロトンガの潮騒のなかに、クローン人間の<愛
>と<ロマン>を雄大に謳い上げた表題作他、SFの原点である奇
想天外な面白さに立ちかえって編纂された「アシモフSFマガジ  
ン」の中から、小松左京、かんべむさしが厳選のうえ、ユーモアを
まじえて各編を紹介したユニークなSF傑作アンソロジー。解説:
浅倉久志

◆1/19読了。「さようなら、ロビンソン・クルーソー」小松左京・かんべむさし編
 分厚いハードカヴァーのあとは、お気楽に海外SFアンソロジーをば。しかしGETはお気楽とはいかない…らしい。絶版して久しい集英社の<海外SF傑作選1>です。
 1977年に創刊された「アイザック・アシモフス・サイエンス・フィクション・マガジン」からの(当時の)新作を選んだもの。それぞれの頭に、小松左京とかんべむさしの掛け合い有り。
「さようなら、ロビンソン・クルーソー」ジョン・ヴァーリィ/浅倉久志 訳…もはやおなじみのヴァーリィの短編。俺的には「ミレニアム」の原作となった短編が好きですけど。最近では早川から出たヴァーリィの短編集「ブルーシャンペン」に収録されています。海王星のバブル型環境内の珊瑚礁に少年は居た。そのエラで海水の酸素を呼吸し自在に泳ぎ回り、島に登ってはロビンソン・クルーソーごっこをしながら。高い科学技術に裏打ちされた楽園の日々は、新たなる大人の女性の出現によって変わろうとしてた…。うーん、「幼年期の終わり」です。いや内容じゃなくタイトルの含意のままですけど。
「夢の期待」サリイ・A・セラーズ/風見潤 訳…その女性は死を求めていた。けれども臓器はしばらくすると脈打ち、復活してしまう。いったいいつから彼女はこうして来たのだろうか? ということでまぁホラーっぽい作品。
「キャプテン・クラップ・スナックス」ジョナサン・ファースト/鏡明 訳…少年と少女は自分の魅力を十分にわかっていた。どんなことをしても(もちろんそれは自分たちの当然の権利と思っていたが)最後には相手がこちらに対してのお詫びと共に折れてくれる。しかし大騒動を起こした罰で見られなかったアニメ、キャプテン・クラップの最終回を見ることはもはや出来なかった。二人はそのキャプテン・クラップ・スナックスのカードを100枚集めるともらえるとかなえてくれるという商品に願いを掛けるが…。ブラックで皮肉の効いたラスト。ピノキオみたいだなぁと思いました。
「魚の夢、鳥の夢」エリザベス・A・リン/佐藤高子 訳…核戦争後の社会、少年イリスは大やけどをおってしまい、治癒は遅々として進まなかった。そして彼の母親が狂気の中でつかんだ代替案とは。終末後モノにする必要はあったのかなぁと思わないでもないが、人類の将来と少年の未来のイメージに乗せる物語が巧い。
「SFパズル・医師のジレンマ」 マーチン・ガードナー/小隅黎 訳…SFというよりもただのパズル@SF設定です。手袋2枚に3人の医師と一人の患者。これだけで問題をわかるひとはわかるかな。コンドームモノでこの手のパズルはやったことあるよ。
「皆既食の時期」フレッド・セイバーヘーゲン/山高昭 訳…太陽風の突然の猛威で、洞窟を出られなくなった一行。宇宙船に戻らねば酸素が無くなるタイムリミットも近い。そこに過去のタイヤの後を見つけた一行は皆既日食が近いことを知る。その間に宇宙船に戻れれば…。というか権威者の一エピソード。こんなに素直に謝る教授ってのもあんまりいないような。セイバーヘーゲンは私生活で思うところがあったんでしょうか? アシモフの短編にも高度に専門化していてお互いの権威には決して逆らわないという教授の一行が惑星調査に降り立つが…というのがあったなぁ。って思い出したらこっちを読みたくなったんだけどタイトル忘れた。
「美食の哀しみ」アイザック・アシモフ/冬川恒 訳…といっている間に、アシモフの短編です。これもどっかの短編集で読みました。味覚と嗅覚に特化した惑星から一人の少年が旅立ち戻ってきた。そして…。異文化をみせながらお約束の筋立てはいい意味で定番。「神々自身」もこんな感じじゃなかったっけ?(15年以上前なので記憶の果て)
「時の嵐」ゴードン・R・ディクソン/岡部宏之 訳…終末世界放浪モノの一バリエーションかな。「トリフィド時代」とか、栗本薫の「時の石」収録の短編(タイトル忘れ)を思い出しました。やっぱ終末には恋人の元に掛け急ぐでしょう。週末違い?いや、「ひとめあなたに」(新井素子)もですよ。
解説:浅倉久志
 ということで、さくっと読了。いまは「quarter mo@n」(中井拓志)です。




●「quater mo@n」
 (1996)
中井拓志 角川ホラー文庫19xx年x月xx日(初版) pxxx \xxx
「quater mo@n」表紙



◆1/25(月)読中。「quarter mo@n」中井拓志
 1/20(木)から入りました。「レフトハンド」の中井拓志です。もっとも「レフトハンド」は読んでいないんですが(^_^;)
 冒頭からのキャッチーな引きはいいんですが、読んでいくと、俺にとっては物足りない。だいたいちらっと読んだだけで、ネットワークと中学生というからみは浮かんでくると思ったらその通りで、小説内の進行がこちらの思考に追いついていなかったり。
 もっとも、ネット慣れ、小説慣れしているせいというのは多分にあると思うのだが、これで引っ張るには、全530頁強というのはボリュームとしてありすぎかな。
 いやいや、まだ全部読んだわけではないので判断は控えておきましょう。この先、気になるのは、角川ホラー文庫から出ていることだな。ホラー=不合理という図式が自分の中にはあるので、せっかく現実との整合性のとれている出来事が、どっかで非現実的な恐怖に替わって付いていけなくなるとちょっと残念ですので。
 今までの所、思い出すのは「ノーライフキング」(いとうせいこう)、「球形の季節」(恩田陸)あたりなんですが、ジャンル慣れしてしまったせいか、それほどのトキメキ・ワクワク感はないですね。というか物語冒頭からの展開が割と予想の範囲内でして、むしろ展開が遅いくらい。今のところ。早くその「先」を読まなきゃと読み進めています。


◆1/26(水)読中。「quater moan」
 物語中盤から、やっと予想の外へと物語が進む。月の帝国の崩壊と、止まらない集団心理。
 しかし、ちょろちょろと気になるところも多し。県警のネットへの対応の遅さや知識の欠如はともかく(主人公以外は気が付かないてのがお約束だからね)、光ネットにしたってサーバが同じなら負荷は高そうとか、常時接続ならIP一定だから現実でのID特定はプロバイダが協力しないとダメだけどネット上での同一性は確認出来るんじゃないのか?とか。まぁコンピュータ系の話はともかくとしても、ネットといっても夢中にならない一部は中学生といえども常にいるはずで(運動部のヤツとか、単に興味がないヤツとか)、また参加している中学生にしてもネットの中の理論的一枚岩ではない(現実を持ち込む、折り合いをつける人もいる)はずなんだろうになぁと思ってしまう。そこらへんの所をうまく説明してくれていたら俺的には納得度が高くなってオッケーだったんだけどね。
 そう言う点を問題なく書いている「ノーライフキング」や「六番目の小夜子」「球形の季節」の方が巧かったかなぁ。(記憶の美化?)
 まぁ、ある種現実を使ったゲームの世界を取り込んだ小説と言うことで、例えば「バトル・ロワイアル」のように、評価は出来ると思います。今だからこそのアプローチであると言えるかな。つまり、学校伝説、ゲーム時代の次と来たらやっぱりネットなんだろうな、と。
 とりあえず、やっと終盤。このままだらだらと終わってしまうのかな?とやや危惧しながら進めています。落としどころはどこになるのか?


◆1/27(水)読了。「quarter mo@n」
 その後、読み進めて読了。
 うーん、今ひとつノれなかった。昨日の感想の根元にあるものは、その「ノれない」という感覚の分析なんだけど、昨日していた細かい突っ込みは、医者が病院のドラマを見れないようなものなのかなぁ。それ以外でも、ガジェットと、(予想範囲内の)筋に、物語が埋もれてしまった感じでした。
 納得性の低さというのは、他にもネット→落書きとか。面白いとは思うのだけれども(ヴィジュアル的にもキャッチーだし)、姿を隠すのが困難で可読性利便性が低くて現実的でないように思える。中学生自体がソコまで夢中になるものとしては、まさにRPGの様に、巧く興味が持続するように事件が起こっているんだけれども、そのタイミングもちとご都合主義的かな、と。その謎のばらまきも中学生自体がそこまでお膳立てできるかなぁ。ま、出来るのか。
 熱病とその感染、そしてその鎮静までという一連の事件という事では、定番的に読めました(^^)。当事者がここまでわけもわからなくなって動いていて、今後どうして良いか分からないというのは、「憑き物」だな。京極堂が欲しいトコロ。見得を切ってスタンと憑いたものを落としてくれれば気持ちよかったんだが。
 けれども逆に、この落ち着き所のなさと、後味の悪いエンディングは、この物語に相応しいものなのかもしれない。

 「球形の季節」などに比べてノれなかった訳ってのはなんなんだろうか?
 こういう作品が俺にとって魅力的な場合というのは、新しい何かがあるか、呼応する憧憬があるかになるのかな。前者の道具立ては実は結構日常だったりするし、後者はあまり語られないので雰囲気を味わえなかったり、話的にも定番ということだったんだろう。
 基本的に熱病のような何かに飲み込まれる話というのは緊張感もあって先も読めなくて好きなんだけど。前述したもの以外でも、「虎」とか「ツィス」とか。  ま、でも楽しめる人には楽しめる一冊ではあると思う。どちらかというと女性の方が楽しめるかも。

 昨日は帰りに池袋の神戸ラーメン屋で夕飯。結構有名らしい。でパルコで「月は幽咽のデバイス」(森博嗣)を購入。早速、読みに入る。





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