公益法人の会計


公益法人会計基準に関連した事柄を綴ります。

公益法人(財団法人、社団法人)については、公益法人会計基準に準拠すべきものとされていますが、公開されている計算書類を見ると、首をひねりたくなる例もあります。

制度的には、平成13年に指導監督に関する申し合わせで、財務等に関する書類(10項目)をネットで公開する様に要請されて いますが、その趣旨はあまり徹底されていません。


都道府県の指導監督不作為責任/H17.11.16

「インターネットによる公益法人のディスクロージャーについて」(平成13年8月28日公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚幹事会申合せ)によって、公益法人は「業務及び財産等に関する資料」(「公益法人の設立認可及び指導監督基準」平成8年9月20日閣議決定)10項目をインターネットにより公開するように要請されています。
10項目とは、@定款A役員名簿B社団法人社員名簿C事業報告書D収支計算書E正味財産増減計算書F貸借対照表G財産目録H事業計画書I収支予算書の事ですが、この10項目を公開する事によって、公益法人の活動実態がかなり開示されます。
国レベルのみでなく都道府県に対しても同様の措置を講ずるよう要請されているので、都道府県管轄の公益法人に対しては、都道府県が監督官庁として要請する事になります。しかしながら、現実には、都道府県が所轄公益法人に対して必要な要請を行っているとは言い難い現状となっています。
都道府県は数年に一度、所轄公益法人に対して指導監督者として検査に入ることになっていますが、その際にこの要請がチェック項目としてカウントされていないのではないかと思われます。検査は「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」(平成8年9月20日閣議決定)によって行われますが、上記、「インターネットによる公益法人のディスクロージャーについて」が平成13年8月28日に申合せされましたので、平成8年9月20日閣議決定の文書には載っていないので、チェック項目として把握していないのではないでしょうか。要はチェック漏れです。
もしそうであれば、お役所仕事というより、仕事自体を理解していないとしか言いようがありません。都道府県の指導監督の不作為が公益法人のディスクロージャーを進展させない要因となっています。これは公益法人自身にとっても不幸な事です。

行政側の誤解U/H17.11.16

指定管理者制度を導入する場合、大切なのは、現在の業務のうち、どの部分を切り出せば効率化が可能か、見極める事だと思います。 現在の業務をそのまま丸ごと指定管理者制度に移行させるのは、非常に安易な、ご都合主義と言えます。
どの業務が市場化に適するのか、どの業務を行政が責任を持って維持しなければならないのか、やめるべき業務はどれか、十分に検討した上で、現在のどの部分を指定管理者制度へ切り出すか検討しないと、指定管理者制度を導入しても意味がないと言えます。
最近の状況を見てみますと、各自治体では、とりあえず指定管理者制度に移行させる事を最優先させており、それにより委託料を 2%、3%削減させた事をもって、指定管理者制度移行を成し遂げたと取り繕っているだけの様に見えます。
願わくは、指定管理者制度へ移行した後でも、再度、事業範囲を見直して、市場化させるべき部分と、行政本体が責任を持つべき部分、今後は廃止すべき部分、を区分けしなおして、指定管理者制度として継続すべき部分の再整理をすべきだと思います。
そうしないと、指定管理者として選定された企業等にとってその価値を十分に発揮出来ませんし、行政にとっても不毛な結果に終わると思います。

行政側の誤解/H17.11.16

近年、行政の施設等に指定管理者制度を導入して、公募により施設の管理運営を民間の企業等に委託する方針を採るのが、時代の流れになってきています。 しかし、委託する側の行政が、従来の概念や体質から脱却できず、指定管理者制度の導入自体の意味があまり無くなっているケースが多くあります。
その根本が利益概念です。
民間企業は、目標利益が見込めないと事業には参入しません。
利益は、いわゆる「もうけ」ではありますが、危険に対する備えであり、投資の財源です。
利益が見込めない事業は、危険負担(事業経営リスク)に耐えることはできないし、より質の高いサービスへ到達する為の投資も確保出来なくなります。
利益の無いところにサービスの向上は無いのです。
それを行政の人達は理解せずに(理解しようとせずに)、指定管理者制度を導入しています。
応募する側に事業計画書を提出させた場合、予想利益をいくらか計上していると、委託料をその分削るのがあたりまえという様な考えでは、指定管理者制度を導入しても上手くいかないでしょう。それでは社会主義計画経済下の官僚と同じです。むしろ、利益が上がらない事業計画を持ってきた企業等の方が、恐ろしくて任せられないと判断すべきなのです。利益の出せない企業等に委託してはいけないのです。
委託料が全体として削減でき、かつ応募企業等も利益が上げられるという場合に、選定先を決定すべきであって、そうでない場合は、指定管理者制度に移行しても単に現在の委託先を弱体化させるだけで終わってしまう恐れがあります。

運用財産/H15.5.25

公益法人は、基本財産と運用財産を持っていますが、一部の人たちは、財団設立当初に拠出した運転資金を運用財産だと 誤解している様です。
基本財産以外に、運用財産(運転資金)として数千万円拠出して、この数千万円も基本財産同様に、決算日には預金として残っていなければならないとの 誤解があります。
定義から言えば、運用財産とは、基本財産以外の財産全てを言いますので、当初拠出した運転資金、数千万円だけが運用財産ではありません。
ましてや、当初拠出した数千万円は、決算日に必ず預金の形で残っていなければならない、というのではありません。
財産目録などに、当初拠出運転資金を わざわざ運用財産と明示している計算書類がありますが、それは概念が混乱しています。
預金残高に運用財産などの明示は不要です。

公益法人等の収支計算書の税務署提出

社団法人、宗教法人、社会福祉法人など、 公益法人等は、原則として4ヶ月以内に収支計算書を税務署へ 提出する事となりました。(租税特別措置法の改正) 例外的に、年間収入金額が、 8,000万円以下の公益法人等は免除されます。
また、町内会やマンション管理組合等も免除されます。 従来、公益法人等の計算書類は、 収益事業を営む場合のみ、税務署へ提出して納税義務が 課されていました。しかし公益法人等の多くは、 収益事業を営んでいないとの立場から、収支の実体を課税庁 へ開示せずにいました。 今回は、課税の適性化と、 情報開示による社会的責任の遂行が、主な改正の趣旨 となった様です。
特に宗教法人に関しては、租税法以外の宗教法人法の 改正により、所轄庁(文部省か都道府県か) へも収支計算書等の書類の提出を義務づけられました。 多くの3月決算法人は、平成10年 7月末が提出期限となりました。 収支計算書の様式については、 「当該公益法人等の活動内容に見合った勘定科目」を使用する 事とされています。多くの場合、当該公益法人等の所属する 上部団体等が規定する様式に拠って作成するものと思われま す。 問題は、実体を反映した収支計算書を 作成出来るかと言う点にあります。 収支計算書は、会計帳簿から作成され ますが、会計帳簿自体が、当該公益法人等の活動実体を 漏れなく把握している必要があるのです。 従来、簿外処理されていた資金や活動を も、これを機会に取り込む必要があります。この点に関し 従来からの慣行は廃止し、新たな規範を確立する事が 望まれます。 今回の改正を期に、会計帳簿を パソコン経理ソフトで処理する動きが目立っています。 公益法人等の専用ソフトとなると、50万円以上の ソフトも市販されていますが、一般のパソコン経理 ソフトでも、勘定科目を修正すれば、かなり対応できると 思われます。私どもの事務所においても必要に応じたソフトをお勧めできます。