ご来場下さった方々、どうもありがとうございました!
<燐光群 アトリエの会>
『 象 』
作=別役実 演出=坂手洋二
男 静かに死んでしまいたいとは思いませんか?
病人 思わないね。俺はむしろ、死ぬ前に殺されたいと思っている。
看護婦 最初は、鼻血が出るんです。誰でも、そうですわ。最初は、鼻血なんです。それからですわ……。
戦争は終わった。誰もがそう信じていた夏。
焼跡の廃墟に太陽がぎらつき、リヤカーを引く影が滲む。
……あの街に、ケロイドの裸男が帰ってきた。
2003年夏、大量破壊兵器は、イラクでは見つからなかった。
1945年夏、それはあの街の上空で、確実に炸裂した。
新国立劇場『マッチ売りの少女』に続いておくる、別役戯曲+坂手演出・第二弾!
・
・

江口敦子 下総源太朗 宮島千栄
7月3日(木)〜24日(木) 梅ヶ丘BOX
<登場人物>
男……………………下総源太朗
病人…………………猪熊恒和
妻……………………中山マリ
医者…………………丸岡祥宏
看護婦………………江口敦子 宮島千栄 宇賀神範子
工藤清美 亀ヶ谷美也子 塚田菜津子
通行人1・影………小金井篤
通行人2・影………向井孝成
影たち………………裴優宇 内海常葉 久保島隆 杉山英之
<スタッフ>
美術・音響=じょん万次郎
照明=ベルント・エルブス
演出助手=大河内直子
舞台監督=海老澤栄
衣裳=大野典子
美術協力=加藤ちか
照明協力=竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響協力=島猛(ステージオフィス)
照明操作=桐畑理佳
音響操作=工藤清美 亀ヶ谷美也子
宣伝意匠=高崎勝也
イラスト=幸剛
Company staff=川中健次郎 大西孝洋 鴨川てんし 瀧口修央 樋尾麻衣子 久保志乃ぶ
協力=高津映画装飾株式会社
寺島友理子 藤本直樹 森川万里 宮島久美 櫻井千恵 渡辺郁子 箟津侑子
岡野彰子 伊藤生育 春日智子 劇団螺船 実験劇場
制作=古元道広・国光千世・大場さと子・川崎百世
■当日配布パンフレットより
本日はご来場いただきまして、誠にありがとうございます。
……さて。
いうまでもなくここは地下室である。
いったんここに籠もってしまうと、地上の出来事は遠いものに感じられる。
午前中から来ていても、気がつくと夜だ。
街の日常から隔絶した世界に身を置いている。
一種の「シェルター」のようなものだ。
私たちの劇団は、もう十二年の間、「ここ」にいる。
……脱出するのか。同じところで新たな発見をするのか。
演劇にとって、「場所」とは何か。
そうした「考察」を必要とする、最低限の「共通認識」が、この場所での上演の、スタートラインだ。
別役実さんの『象』については、今さら言うまでもない。
まさか自分が上演することになるとは思わなかった。
芝居を始めてからずっと、気になる戯曲だった。二十歳頃には映像化したいと思ったことさえある。
ある時期、『象』に於ける「男」と「病人」の関係は、『白鯨』の「イシュマエル」と「エイハブ船長」に似ていると感じたが、じっさいに作品に向き合ってみると、そうでもない。
『象』は『象』なのだ。
中枢の部分では、演劇史・文化史は、関係ない。
これは、当時二十代の作者の、個的な「たましいの叫び」だ。
この発見は、意外と、重い。
……今回、夏公演にあたり、候補を挙げ、「どの作品の、どの役を、やりたいか」について、俳優たちに問いかけた。
圧倒的多数が、『象』を選んだ。
正直、驚いた。
この手強い戯曲を、今現在の「演劇」にするための努力、取り組みを、みんな、本気でするというのか。
……あまり時間的な余裕はなかったが、私たちはこの仕事に真摯に向き合ってきた。
説明も、言い訳もしない。
私たちの、この、どなたもご存じのような呆れかえった「現在」を捉え直す、新たな「可能性」としての「夏」の発見は、この作品の創造と共にある。
「二十周年」を越えてしまった集団の、この「夏」と共にある。
見届けていただきたい。
坂手 洋二
前売券¥3,000 当日券¥3,300 ペア券¥5,400
大学・専門学校生以下¥2,700 高校生以下¥2,000
※7/3(木)〜7(月)はプレビュー公演 ¥2,000均一