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Species of 20th Century

ロウチ氏の死と復活

ダブリンの<大人になれない男たち>が性と死のはざまを漂う、真夜中のパーティ。  アイルランド演劇の旗手トマス・キルロイの処女作にして問題作、本邦初上演!

CAST   ケリー‥‥‥‥‥‥‥下総源太朗
シェーマス‥‥‥‥‥千田ひろし
マイルズ‥‥‥‥‥‥岸田修治
医学生(ドク)‥‥‥山田勝紀
ケヴィン‥‥‥‥‥‥丸岡祥宏
ロウチ氏‥‥‥‥‥‥川中健次郎
STAFF   美術/加藤ちか 照明/竹林功 照明操作/高野旺子 音響/じょん万次郎 音響操作/吉田智久 衣裳/梶山知子 演出助手/阿部真里子 文芸助手/久保志乃ぶ イラスト/山田賢一 宣伝写真/高崎勝也 宣伝意匠/今井千恵子 照明協力/龍前正夫舞台照明研究所 音響協力/島猛(ステージオフィス) オルガン演奏/久保志乃ぶ 江口敦子 協力/高津映画装飾株式会社 (株)アルク 村川実和子 山下貴子 山本大輔 磯崎祐子 大石愛 制作/古元道広 上田郁子 長嶋美少子
日時・場所   1998年7月18日〜26日 梅ヶ丘BOX
料金   前売¥2200 当日¥2500 ペアチケット¥4000 学生¥2000

 ■当日配布パンフレットより

他人の戯曲を演出するのは初めてである。と思ったら『ハムレットシンボル』というのをやったのを思い出した。あのときは『ハムレット』を「皇太子の物語」と読み替え、好き放題に改竄したものだった。今回の『ロウチ氏の死と復活』は、カットさせていただいた部分も多いが基本的には原テキストを尊重し、ほとんど手を入れていない。登場人物六人の織り成す関係性をいじったら、自分と違った価値観を持つ他者の台本をやる意味がない。「1968年のダブリン」はそれじたいで「いつか・どこか」の独立性を獲得しているし、例えばそれを「現代日本のどこか」に置き換えたって、面白いはずはない。
 当時の「怒れる若者たち」のムーブメントから取り残されたかのごとき、退廃的な都市生活者である登場人物たちが、どこか現代日本の我々の姿に重なるというのは安直な見方かもしれない。だが台本を一読し、わが劇団の俳優に当て嵌めてみたイメージキャスト通りでの稽古が進むにつれ、役と俳優の間に奇妙に親密な関係ができあがってくるように思われるのは、まことに不可思議な体験である。だから俳優陣にはどんどん好き勝手におやんなさいと煽るのだが、役者の遊び場としてのアトリエ空間で芝居ができるのは楽しいことではあるものの、同時にプレッシャーも多いようで、稽古が終わっても夜更けまで皆なかなか帰ろうとせず、道具をいじったり台詞を検証したり、いつもの劇場公演とは違う空気の中で、初日を迎えようとしてる。
 いわゆる「劇団のアトリエ公演」が目立たなくなった昨今、時代に逆行したような上演ではある。「ぴあ」の演劇欄がたった2ページだった頃のことを思い出したりもする。しかし、今年『くじらの墓標』を上演してくれたロンドンのゲートシアターも、とんがった企画で目立っているとはいえ、80人入れば一杯の小空間だった。「梅ヶ丘BOX」はさらに狭い空間だが、今はなき厚生年金会館近くの「アートシアター新宿」と間取りはほぼ一緒だ。この場所とのつきあいは七年目だが、本格的な自主公演は初めてである。これからどんなことが可能か、さらに模索する価値はあると思っている。

坂手洋二