カトリーヌ会館へようこそ


 某月某日、天気は晴れ。場所は神田は「カトリーヌ会館」。
 ここは、心優しき女装者が集う場所である。今日も、恵美奈は
、元気に働いている。
 恵美奈、27歳、退屈なOL家業に別れを告げ、真に女装者を
満足させられる店を目指して、悪戦苦闘の毎日である。
 元、OL仲間でショップの共同経営者の美紀が話し掛けてきた。
「ねえ、恵美奈、暇ねえ、こんなにお客が来なくてやってけるの
〜」
 恵美奈は、ため息をついた。
「そうねえ、確かに、まずいわね。でも、ここで、挫けたら女装
愛好者達は、救われないわ。大体、今まで、ろくな店がなかった
んだから。一口に女装といっても、セクシーになりたい人もいれ
ば、キャピキャピに可愛くなりたい人だって、いるんだから」
 美紀が後を続けた。
「そうだわね、その為に、二人して店を始めたんですもんね。確
かに、評判はいいのよね。ここは、試着出来るし、女の子が相談
にのってあげるしね。でも、大変なのよねえ、すけすけのスキャ
ンティから、可愛らしいフリルのショーツ迄、品揃えするのって
、経費が掛かりすぎるわ」
「愚痴を言わないの。この間のお客さんの事覚えてる?仕事は、
自衛官だって言ってたけど、すっかり、オリーブ娘になって帰っ
て行ったじゃない、花柄のショーツを選んであげたら、本当に嬉
しそうだったわ」
「そうね、頑張らなくっちゃね。みんな、奇麗になりたいだけな
んだもんね。優しくしてあげなくっちゃね」
 恵美奈はガッツポーズをして言った。
「そう、心優しき女装者さん達を私達が奇麗にしてあげるのよ。
ガンバ!」
 その時、ドアが開いて客が入って来た。
 年齢は、30代前半、スーツを来てアタッシュケースを持って
いるので営業マンのようであった。
「いらっしゃいませえ〜、カトリーヌ会館へようこそお〜」
 恵美奈の元気の良さに、お客はびびりながら、口を開いた。
「あ、あのう、僕、可愛らしい、ショーツとキャミが欲しいんで
すけどお」
 客を遮るように、美紀がまくしたてた。
「ええ、ええ、分かってるわよ、可愛くなりたいのね。今、お姉
さんが選んであげるわよ。ついでに、ネグリジェもどーお」
 客は完全にびびっている。だが、美紀は全く意に介さない。
「これなんかどう、ピンクのショーツにピンクのキャミでお揃い
よお!ネグリジェは、エルがいいわね。これで、貴方も、可愛い
パリジェンヌよお」
 びびっていた客の目が、嬉しそうに輝いた。
「ほ、本当、本当に可愛くなれるのお!わあ、嬉しい」
 美紀に負けじと、恵美奈がまくしたてた。
「ええ!本当ですとも。すっごく、可愛いわよお」
「ああ、嬉しい。僕、今まで女装に興味があったんですけども、
勇気が無くて出来なかったんです。こんなに、親切にして貰える
んなら、もっと、早く始めれば良かった」
 恵美奈と美紀が唱和した。
「女装者の味方、それが、カトリーヌ会館です」
 感動した客は、二人の薦めるまま、ファンデーション、ランジ
ェリー、ナイティ、更には、無駄毛処理のクリーム迄、買わされ
たが満足そうな顔で帰って行った。
 客を見送った後、恵美奈と美紀は固い握手を交わした。今日も
又、迷える女装者を導いたのである。
 恵美奈は、今日も元気に働いている。必要以上に。



後書き
この作品は、アリエスを書き始めて、女装に目覚めてしまった、
作者がこんな、理想のショップを作品にしてみようと思って、書
き始めたのが、うまくいかず、やけくそで、コメディになってし
まったものです。「恥ずかしいお買い物」に出てくる恵美奈は、
初登場の時は、こんなおちゃらけたキャラクターだったんです。

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