境界標設置キャンペーン

 徳島県土地家屋調査士会では、毎年秋に四国放送テレビでTV放映をするなど、県民に境界標の設置推進を訴えるキャンペーンを実施します。

[境界線の画像]

境界標を設置し、境界紛争を予防しましょう

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 日本人ほど土地に対する執着心が強い国民は無いと言われています。このため、わずか数cmの幅を巡っての境界紛争も頻発しています。こんな場合、現地に境界標(境界に設置され境界を明示する標識:境界杭・境界石などのこと)さえあれば境界は当事者にとってはっきりしていることだし、境界標が動かされでもしない限り、そもそも境界紛争自体が発生しないと考えられます。

 私たちは日常業務において、依頼者から隣との境界がわからないので、境界を入れたいのですがとの依頼を受けることがあります。一般の人は法務局に行けば境界をはっきりさせる資料があるものと思っておられるようですが、実状は必ずしもそうではありません。

 法務局が保管している図面には、

@ 不動産登記法第17条地図(以下「17条地図」という。)

A 地図に準ずる図面

B 地積測量図

などがあります。

 17条地図は、昭和35年に施行された不動産登記法(以下「法」という。)の第17条において、「登記所に地図及び建物所在図を備ふ」と規定されていることから、この呼称が用いられています。法務局は法律ができたら予算も付き、短期間の内に17条地図を整備できると考えていたかもしれませんが、現実には法務局による地図作成作業は遅々として進まず、県下においても作成されているのは徳島市国府町矢野地区の約1平方kmにすぎません。そこで法務局では、市町村が国土調査法に基づいて実施している国土調査による地籍図の送り込みを受けるなどして、これを17条地図に指定しているのが現状です。

 17条地図は、関係者の立会を得た上で確認された境界を最新の技術によって測量して作製した図面ですから、そこに表示された境界はほぼ信頼できると考えられています。

 ただ、17条地図ではあっても、昭和50年代以前の平板測量によって作製された地図は精度が一段低く、現地復元性が劣りますので、注意が必要です。

 一方、17条地図が備えられていない地域では、法第24条の3によって「地図に準ずる図面」を備えることになっています。この図面は、従来「公図」と呼ばれていたもので、明治時代の初期に地租(土地の税金)を徴収するために、人民を動員して1筆ごとに土地を測量し、これを寄せ集めて作成したものです。当時の測量器具は貧弱で、測量技術も未熟であったために、この図面の精度は高くありません。そのため、法も第24条の3の第2項においては「地図に準ずる図面は1筆又は数筆の土地毎に土地の位置、形状及び地番を表示するものなることを要す」と規定するのみで、17条地図の内容を定めた法第18条第1項の規定「地図は1筆又は数筆の土地毎にこれを作製するものとし各筆の土地の区画及び地番を明確にするものなることを要す」と比較して、土地の境界を特定する資料としては不十分であることを認めています。

 次ぎに地積測量図は、土地の表示登記・分筆登記・地積更正登記を申請する場合に提出を義務づけられている図面です。私たち土地家屋調査士は、地積測量図を作製するにあたっては、申請する土地の周囲にある道路・水路等の公共用地との境界並びに隣接する民有地との境界について、その管理者や所有者などの立会を求めた上でその位置を確認し測量します。測量は、可能な限り国の設置した三角点若しくはそれに準拠した国土調査の基準点等を使用して行うと共に、後日に備えて現地に測量の準拠点を設置し、なお土地の境界には可能な限り境界標を設置しています。そして地積測量図には、これらの境界標や準拠点を表示して、この図面を見れば現地においてどこが境界なのかがわかるようになっています。

 しかしながら、昭和53年よりも前の地積測量図にあっては、その当時は準拠点や境界標の記載が求められていなかったこともあり、境界の確認のためには不十分なものもあります。

 以上のことから、比較的最近に作製された17条地図や地積測量図が備わっている土地にあっては、比較的簡単に境界を見いだしやすいのですが、そうでない場合には、現地の状況を調査したり、関係者の話や市町村・土地改良区などに保管されている図面を参考としたり、各土地の公簿面積と実測面積との比較をしたりするなど、複雑で手間のかかる作業をした上でないと境界の位置を見いだすことはできません。これには多額の費用を要します。

 また、記憶に新しい阪神・淡路大震災においては、地殻変動のために境界が数十cm以上も移動した地域が報告されています。このような場合、地域全体が大きく移動しているために、地図などに基づく復元測量では境界が全く違ったところに来るため役に立たず、現地に設置されていた境界標によって新しく図面を作り直した事例も報告されているようです。

 従って、境界を明確にし将来の境界紛争を避ける上からも、平時において隣接地との境界に境界標を設置しておくことが最も肝要であると考えます。そして境界標を設置する際には、必ず土地家屋調査士の専門的アドバイスを受けるようにすることが望まれます。