精神科の薬をのんでいるが、症状がよくなったら薬をやめてよいか
体の病気であれ、精神の病気であれ、症状がよくなってくると、薬をやめたい、薬をやめることができるはずだと考えるのは当然のことと思います。やめてよいかどうかは、「やめた場合に再発する危険性が、やめないで続けてのんでいた場合よりどのくらい高いか」という点を重視して決めなければなりません。例えば、高血圧症で降圧剤(血圧を下げる薬)をのんでいる方が突然薬をやめた場合、血圧が再び上がる可能性は高いと思います。しかし、中にはやめても血圧が上がらず、そのまま中止できる方もいます。一方、血圧の薬をきちんと続けていても、血圧がさらに上がって、強い薬に変えていかざるをえない方もいます。のみ続けた場合とやめた場合の悪くなる確率を比較して、続けた方がよいか、やめることができるかを考えるのが医学の判断です。
精神医学でも、薬をやめた後の再発率についてはいろいろな病気で多くの研究があり、薬を続けてのんだ方がよい期間について病気ごとにだいたいの指標がありますから、主治医によく尋ねて下さい。同じうつ病であっても、うつ病のタイプによって、あるいは過去にもうつ状態や躁状態の時期があるかどうかによって、薬を続けた方がよい期間は違ってきます。精神分裂病でも同様、病気のタイプによって異なります。「症状がよくなったら薬をやめてよい」と単純に考えることは決してしないで下さい。
薬を続けるべきかどうかを考える上で、病気の再発以外に、薬の副作用も問題になります。例えば妊娠を希望される方の場合は、薬を続けているよりも病気が再発する危険性が高くなるのを承知した上で、薬を中止せざるをえないこともあります。この場合は患者さん自身やご家族に服薬中止のプラスとマイナスをよく説明してから、相談して決めるようにしています。
もうひとつ、患者さん自身の受けとめ方もとても重視しています。「症状がとれても薬をやめないと病気がなおった気にならないからやめたい」と言う方もいれば、「この薬をのんでいることで再発の可能性が1%でも下がるのなら、一生のんでいたいと思う」と言う方もいます。それぞれの患者さんに十分な医学の情報を提供して、一緒に考えていただくのもとても重要と考えています。以上