精神科医を活用する方法 

心身症とはどんな状態を言うか 

 「心身症」という言葉は、しばしば誤った意味に、あるいは意味をはっきりさせず曖昧なままに用いられる傾向があります。疲れやすさや食欲不振などの体の症状があるにもかかわらず体の病気が見つからない時や、何か精神的に問題となるようなことがあった時、心身症という言葉を使う人が、医師の中にすらいますが、適切ではありません。

 心身症と診断するには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

(1)体の病気にかかっていることがはっきりしている。:はっきりした体の病気の診断がなされていれば、病名は何でもよいのですが、以下の(2)の条件も同時に満たすことが多いのは、消化性潰瘍、気管支喘息、本態性高血圧症、潰瘍性大腸炎などでしょう。

(2)環境の変化(いわゆる生活上のストレス)に時間的に一致して、体の病気の症状が変動しやすい。:例えば、仕事の負担が大きくなった時、消化性潰瘍が悪くなるような場合です。 

 体の病気にかかっている方が心身症と診断されるかどうかの判断において、最も重要なのは、日常生活の状況を時間的に追いながら慎重に尋ね、環境の変化と体の病気の症状の変化を検討することです。「前の病院で、心理テストの結果から主治医に心身症だと言われた」という患者さんに出会ったことがあります。心身症を診断できるような心理テストはありませんから、何か誤解があるのだと思います。

 どのような体の病気でも、生活上のストレスに一致して、多かれ少なかれ、多少は体の病気の症状の変化があります。だから「心身症か、心身症でないか」という判断にそれほどこだわる必要はないと思います。大事なのは、それぞれの方の体の病気がどの程度、心身症的な面をもっているかということを考慮して、患者さん自身は生活のしかたを工夫し、医師は治療に当たることでしょう。

 このような心身症も精神科医の診療対象であり、病院によっては精神科の中に「心身症外来」を設置しています。最近は心身症を主にみる心療内科という科のある病院もあります。以上。

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