精神科医を活用する方法
精神科医が治療に当たる主な状態は以下のようなものです。このような問題の中にはご本人が
困っている場合と、むしろご家族など周囲の方が困ったり心配したりしておられる場合があると
思います。
1)何らかの精神的な問題や悩みがある
イライラする、不安である、眠れない、ゆううつだ、物忘れがひどい、人前で緊張しやすい、
ボーッとしている、など
2)原因のはっきりしない体の症状がある
だるい、疲れやすい、食欲がない、手がふるえる、など
3)行動の問題
酒の量が多い、行動がまとまらない、仕事が長続きしない、乱暴になることがある、
食事をしたがらない、過食しやすい、(周囲の方からみると)変なことを言う、など
4)ストレスで体の病気が悪くなる
ストレスがかかると胃・十二指腸潰瘍が悪くなる、ストレスで頭痛が強まる、など
「この程度では精神科に来るほどではないのでないか」という言葉を時に耳にします。精神科医は
精神医学という医学にもとづいて診察を行い、治療方針を決めていますから、精神科に来たら
必ず治療を始めるという訳ではなく、今すぐ治療する必要はないと判断することもあります。
ご自分で受診の必要があるかどうかを判断された場合、「本当は受診する必要がないのに受診する方」
よりも「本当は受診する必要があるのに受診しない方」の方がはるかに多くなる傾向があるようです。
精神科が敷居の高い場所であるため、受診すべきかどうか悩まれるのはよくわかりますが、
やはりご自分であまり悩まれる前に一度受診して、とりあえず相談されることをお勧めします。
家族などの周囲の方からみると一度精神科医の診察を受けた方がよいように思えるのに、自分では受診したがらない方に対してどのように受診を勧めるかは、常に出てくる大きな問題です。名案がないためにみんなが悩んでいるのですが、多少参考になるかもしれないことを書いてみます。
第一に、「周囲からみたらおかしいから、精神科でみてもらった方がよい」のような表現は不適切です。「自分からみると具合が悪そうに見える。でも自分は専門家でも何でもないので、治療が必要な問題があるのかどうかわからない。ただ自分は心配で仕方がないので、自分の心配を解消するためにも専門家にみてもらって欲しい。専門家が何でもないといえばそれでいいのだから。」のように周囲の方が言われた方がよいでしょう。本当に治療が必要かどうかは専門家が判断することですから、この言い方が正確と思います。
第二に、周囲の方の問題にしている部分とご本人の気にかけている部分がちがっていることがあります。例えば周囲の方はいろいろな行動に問題があると感じていて、ご本人は眠れないとか食欲がないことを悩んでいる場合です。この場合はご本人が困っている症状でまず何科でもよいですから、受診していただき、あとはそこで診察に当たったそれぞれの科の医師の判断に任せてみるのも一方法と思います。
第三に、ご家族みんなで意見を統一して受診を勧めて下さい。時にお母さんはとても心配して受診を勧めているのに、お父さんはそれほどでもないというようなご家族に出会います。ご家族や周囲の方みんなが本当に心配していることをきちんと伝えることはとても大切です。
第四に、心配しているご家族のみがまず相談に来れるようなシステムになっている病院が多いと思います。ご家族からそれぞれの方の状況を伺いますと、それに応じたアドバイスがしやすいですから、このような方法も考えて下さい。
名案とはほど遠い記載になりました。「自分はこういうふうにした」というような体験談をいただければ、私も今後の診療の参考にさせていただきたいと思いますので、どうぞご意見をお寄せ下さい。
以上。
難しい問題です。どの科の医師でも「いい先生」を見つけるのはなかなか大変なことです。しかし大都市などでは医師過剰ですから、もっと医師の評価がなされていいように思います。将来、「病院機能評価」などいうシステムが進めば、もっと客観的に医師や病院の良さを評価できるようになるのかもしれませんが。
まず治療を受けなければならない病気の性質で医療機関や医師がある程度制約されます。例えば入院の必要性がいつ起こるかわからないような性質の病気では、外来通院もできるだけ入院施設のある病院がいいでしょう。精神面の病気だけでなく、体の病気を合併している場合は体の診療もできる総合病院や大学病院がよいでしょう。症状が軽く、会社勤めをしながら治療していく場合は夜も診療しているクリニックの方がよいかもしれません。このような条件は十分考慮された方がよいと思います。
次に見つけ方の部分ですが、現在治療を受けている方の評判当たりがかなり正確なのではないでしょうか。どうも他によい考えが浮かびません。
大学病院の教授、助教授、講師あたりなら確実かという質問を受けたことがあります。最近は大学の患者さんをみる部門でも、患者さんをみた実績よりも、動物実験などを中心とした基礎的研究の業績によってスタッフが選ばれていることが少なくありません(よいことだとは思いませんが・・・)。もちろん中にはいい先生もたくさんいますが、患者さんの診療に当たるという点で、いい先生の指標にはならないでしょう。マスメディアによく登場する精神科医はどうかという点も、私の印象だけでいえば、いろいろな方がいて、やはりいい先生の指標にはならないでしょう。
精神科医は患者さんとの相性があるから、よけい選びにくいという意見も聞いたことがあります。この考えには私は少し反対で、自分の周囲を見ますと「いい先生」はどのような患者さんにとってもいい先生であるように思えます。「よい医師」と「相性のよい医師」は別の問題としておいた方がよいのではないでしょうか。
最後に、ひとつ注意すべきことをあげます。本当に「いい先生」の治療を受けている場合、患者さんは時々厳しいことを言われたり、つらい思いをすることがあると思います。「本当にいい先生だ。この先生はすべてわたしのことをわかってくれている」などと、先生のいい面ばかりが患者さんに見えている時は、かえって治療がうまく進んでいないことも多いようです。以上。