精神科医を活用する方法 

      精神医学の知識で心の問題に対応して欲しい 

 心の問題というのは誰でも多かれ少なかれ経験していますから、誰でも他の人の問題の相談にのれそうな気になることがあります。次のような話を聞いたことがあります。

 軽い高血圧で、長年、内科医にかかっている中年男性が、ある診察で血液と尿に関する検査結果の説明を受けた後、「ここ一カ月位、どうも疲れやすいし、気分が晴れない。夜も寝つきが悪い」と訴えました。内科医:「体の異常のせいではなさそうだ。最近何かストレスになるようなことがなかった?」、患者:「息子が大学入試に失敗して浪人することが決まったのが気になって−−−。」、医師:「やっぱりそうか。自分も子供が受験の時、何となく体調が悪くて困ったことがある。息子さん、早く落ちつけばいいね」

 これを聞いて思いました。「体の異常のせいではない」までは医学に基づいた対応をしていた内科医が、「疲れやすさ、気分が晴れない、寝つきが悪い」という心の問題への対応になると、なぜ医学の知識に基づかない対応をしてしまうのでしょうか。「自分も子供が受験の時、体調が悪かった。息子さんが早く落ちつけばいい」というこの内科医の対応は「同僚との会話」や「となりの素人おじさんの人生相談」に過ぎないように思えます。このような患者さんの症状を安易に息子さんの受験と関係付けるのは精神医学という医学からみると不適切な判断であることが多いですし、この方はひょっとしたら、早めに薬によるきちんとした治療が必要かもしれません。

 医師ですらこうなのですから、一般の方であればなおさら精神医学とは関係ない所で、自分のもっている知識のみを駆使した対応をとりがちです。もちろん同僚や友人として相談にのることの方が精神科医による治療よりはるかに有効な場合も少なくありませんが、それは同時に早く治療すべき状態を見落とすことになる可能性を秘めていることも知っておいて欲しいと思います。

 素人的な知識による講演やそれによって書かれた本はわかりやすく魅力的にみえることがあり、世の中には精神医学からみればあきらかにおかしい講演やおかしな本が氾濫しているように思います。適切な精神医学の知識を少しでもお届けできればよいと考えたことも、このホームページを作るきっかけになりました。以上。

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