よく受ける質問に「精神科の病気は治るか」というのがあります。内科の病気にはいろいろなものがあることを多くの方は知っていますので、すべてをひとまとめにして、「内科の病気は治るか」と質問されることはないのですが、どうも精神科の病気というのはひとまとめにされやすい傾向があるようです。
完全に治るのか、治りにくいのかは病気の種類によって大きく違ってきます。例えば、急に強い不安感に襲われるパニック障害という病気があります。この場合、きちんと薬をのめば、性格や環境をとりあげるカウンセリングをしなくても、ほとんどすべての症状がとれることが少なくありません。一方、不安感がいつも持続するような場合は全般性不安障害と呼ばれ、パニック障害に比べると薬物療法とともに時間をかけたカウンセリングが必要なことが多いようです。かつてこのふたつの病気は不安神経症という名でまとめられていましたが、最近は分けてとりあげられることが多くなりました。うつ病でも<どんなタイプのうつが精神科医の治療で治りやすいか>の項であげたような特徴がある場合は治りやすく、多くの方は完全に元の元気な状態に戻ります。
どのような精神科の病気でもある程度共通して言えることとして、病気になる前、対人関係が活発でバリバリ仕事をしていた人は、内向的であまり積極的に社会に関わってなかった人よりも、また、ご家族や周囲の方が治療に十分協力して下さる方の方が、協力がいまひとつの方よりも、治りが良い傾向があるとはいえるかもしれません。その他にも個々の患者さんの症状の特徴や元々の性格などを詳しく分析することが、病気の経過や治りやすさを予測するのに役立つと言われています。もし現在、精神科の主治医がいる場合はよく尋ねてみて下さい。
もうひとつ、症状は比較的早くとれても精神科医が薬は長期間服用した方がよいと勧める場合があります。患者さんの中には、薬をのみながらであっても症状がなくなったら、だいたい「治った」と考える方もいれば、薬も中止できる段階まで行かないと「治った」とは考えない方もおられます。患者さん自身がどの状態を治ったととらえるかによって、「精神科の病気は治るか」という質問に対する答えが変わってくるという面もあります。以上