映画版「リング/らせん」を3月10日に観た。小説ループを読み終えてから一週間後のことだった。小説版の「リング/らせん」については「ループ・三ツ星」で書いているので参照してもらいたい。
内容をひとことで言うと、あるビデオテープを再生して観た人間が一週間後に変死するという話である。
あえて言おう。ハッキリ言って大して怖くない。ただ、僕の場合は小説を読んで内容を知っていたからだと思う。生理的な恐さを除けば、この手の話しというのは得体の知れないものが恐怖感をあおるからだ。
ただ恐くないと言っても、世間の評判ほどと言うだけでそれなりには恐い。特にビジュアル的な怖さというものはある。内容を知ってるとか知らないとかにかかわらずだ。
しかし問題にしたいのはこの映画の役割だ。果たしてこれは「怖がらせるだけのホラー映画」なのか? ということだ。僕は違うと思う。だから別に怖くなくてもいいのだ。確かに怖くないとは言ったがおもしろくないとは言ってない。映画としてはかなりおもしろい。新しい感覚のエンターティメントだ。
ただ僕がこんなことを書いて「怖くないって言ったから観たのに怖かったぞ! どうしてくれるんだ! こんにゃろ金返せ!」と言う人がいても責任は持たないのでよろしく。
映画版「リング」では主人公が男性から女性に変わっている。ただし名字の浅川は原作と同じ。その主人公の友人の高山は、映画においては浅川の離婚した元だんなということになった。この変更だけなので内容は大きく変わっていない。ただ、主人公を女性にしたことによって恐怖感は増しているとはいえる。
それとたぶんヒロインらしいヒロインがいない物語なので、ただ単にそうしただけだろう。「今時、ヒロインがいなくて男ばっかの映画なんて誰も観たくねえよ! 女に変えちゃおう! 女に! たのむぜおい!」 と、企画会議で叫ぶ中田監督の声が聞こえてきそうだ。
高山を演じる「真田広之」がなかなかいい。いい男なのに野性味があって知的で。たのもしさが全身にただよっている。ちなみに主人公を演じる「松嶋菜々子」という女優さんを僕はこの映画で初めてみた。信じられないだろうが、この時までこの女優さんの存在を僕は知らなかったのだ。知らない人が出ているとリアルだよね。こういう映画って(お前だけだ)。
ところで、「リング/らせん」と共に上映時間が短い。両方合わせても三時間くらいだ。そこでどうしても無理が出てくるのだが、そこはうまくかわしていた。仇になっている部分もあるにはあるが。
原作と大きく違うのは、高山の役設定に追加があること。なんと彼は「超感知覚」をもっているのだ。単純にいうと超能力者みたいなものでテレパスとも言う。いつだかテレビドラマでやっていた「サイコメトラーエイジ」のエイジと同じ能力をもっている。人に触れただけで映像が脳裏に浮かび情報を読みとることができるって言うあれだ。
この物語は一種の推理ドラマなので、謎を解くために主人公たちは行動する。だが、いかんせん上映時間が短い。謎が不可解であればあるほど、簡単に解決には近づかない。そこで高山のサイコメトラーである。
こんなシーンがある。ある事実を知っているはずの老人がどうしても、話してくれない。そのときに高山は老人に詰め寄るが走って逃げる。しかし海辺の岩場なのでつまづいて転んでしまう。その時に高山は老人の腕をつかむのだ。その瞬間にある出来事を読みとった。 っておい! だったら最初からそうしろよ!
まあ、いずれにしてもうまい方法だ。肝心なところは推理ではなく超能力。この映画は基本的にホラーだからそれで許されるのである。
「おいどうしよう。一時間30分でやれってよ。そんなんじゃ謎は解けねえよ! ・・・ そうだ。超能力者を出すってのはどうだ? それだったら話しはポンポン進むぜ! どうだおい!」 と、脚本家に向かって叫ぶ中田監督の声が聞こえてきそうだ。
そう言えばもうひとつ、構成的に追加されているものがある。それはビデオテープの存在が、うわさ話として女子高校生の間では有名になっていること。まるで「口裂け女」や「なんちゃっておじさん(マイナーかな)」のように。木曜の怪談じゃないんだから、この設定はいらんと思う。
そしてラスト近くに、原作を知っていても唯一、めちゃめちゃ怖いシーンが出現する。これもいわば変更されている部分ではあるが、フライングはしていない。むしろ小説ではできないビジュアル的なものがあり、かなり成功している。
「ホラー、つーのはな。原作読まれてちゃ怖くねーだろ! オチ知ってんだからよ、オチ! せめて見た目で怖くしねーとな! かますぜおい!」 と、役者とスタッフに向かって叫ぶ中田監督の声が聞こえてきそうだ。
でもって、エンディングスクロールは例の脳天気な「♪くーる きっとくるっ」っていう主題歌が流れて終わる。いい歌なんだけど、少しもマッチしていない。(・・・と、ずっと思っていたのだが、その後ビデオを観たら曲のアレンジが結構怖い。よってマッチしていたと訂正しよう。作曲はさすがの川井憲二。やってくれるぜ!)
ちょっと待て。今まで書いてきて気づいたけど、これって誉めてるか? 一応、三ツ星のつもりなんだけど(笑)。しかも話は「リング」だけだし。字数が多くなっちゃったんで、「らせん」とは分けて書くことにしますわ。
んじゃ、とりあえず三ツ星ってことで★★★