20th Century boy の破片

 
              清水愛一    


     §

   月白の 息 音楽室は裸です

     §

   時代の  
   アマテラスになりそびれて   

   姉たちの残骸    

     §

  我今而乃知君心。
          20世紀少年の破片のなかにわたしは
         むすうの〈はなびら〉を夢想していた。
  〈はなびら〉はわれわれの透明な肉体の
         あちらがわで散りつづけ、それは永劫回
         帰の日本的ヴァリアントを想起させた。

    §
 
      鉄の男(スタ−リン)   
      まだ沸点のロマンチシズムを愛せない

    §
   
   擦れちがう
    舌 
     
      それぞれの青沼を覗く
 
    §
 
  蟻塚へ 風俗の穴のスピ−ド

    §
    
 

        さびしすぎる姉たちの午後。
        それがひとつの神話でありえた時代にわ
        たしはわたしということばの周囲に揺洩
        する牡鹿の幻影を追いかけていた。
         呼吸とは仄の暗い〈波〉。わきあがる生
        の湿りをひたすらに捌く。
         <波>のなかで姉たちの黒髪がたたなづい
        ている。
    §

   嶺雲のあど・りびとむを死とみなす
 
    §

   摩多羅神 
   呻きの水域 叩き割る 
 
      恨(ハン)の肉質   

    §

  ネロといた真夏をあさく嗅ぎわける

    §

  十二夜のことだった。いびつなまま唄
        いだす<幼女器の断崖>をのぼる貝がいて、         
        HOSANNA。
  少年追放の現場に響く手毬歌こそが幼
        女の復讐劇の発端であったと、すなおに
        頷く少年がいて、てりぶる。     

    §

  銃口の
  アンニョンに崩れて 伽耶よ   
  火照るか 

         §

      くゆりたつ Mocha のかおりの倫理学

      §

  伽耶よ! 伽耶  
   
  その対岸を愛す 秘法
           
              §

      子宮がうみおとすもの。
     それは神話になりそびれた一個のRumour  
         であろうか。姉たちがじつにゆっくりと
         したスピ−ドで落下してゆく。百億の嘘
         とルナティックな夜明けに。
 
      Oh Boy !   

       §
 
   雨音の淋しい尻尾が見えぬのか

          §

   犧      「秋風は棕櫚のいのちが吸いたいの」       

      民衆歓喜    「くろぐろと 噂 ひらいている人類」

   仮面王     「炎帝や汗百万粒の摩天楼」
   
   道化   「有精卵ひさぐゆびさき信徒です」

   岩の滴り    「ああぁぁ‥‥」
           §
              §    

       ピエタを汚す少年の裏切りは 朝   
  
              §   

       The MacDonald'Eyes

   お持ち帰り
   首狩り族の月ひとつ

       §

   ひとの魂(たま)曳いて一夜のひとで狩り 

       §
   音楽室を
      這いのぼる
      <水性の三半規管>
  

             
  ♪ 20th Century rejoy,I wanna be your boy. 
                          T・Rex

          『Rumour』(1983)の ヴァリアントとして